ゴラン高原のある高校から心暖まるニュースが入ってきました。メヒナット・ケシェット・エフダ校という兵役前の学生達が通う宗教校が、今回の話の舞台です。この学校は将来のリーダーを育成するために、若い青年達にホロコースト生存者との交流と介護を勧めています。生存者をお世話するレハイム慈善団体との連携で、この教育プログラムに参加する学生たちは、毎週定期的にホロコースト生存者を訪問します。そして心身の不自由を覚える老いた生存者たちの家を掃除し、必要に応じて、食料や医薬品、お金を渡しに行きます。若い学生たちに任されているなによりも大事な役割は、孤独に悩む生存者たちの「話相手」となることです。
レハイム慈善団体の設立者、ダニエル・ブラウン氏は語ります。「我々は生存者たちが信じられない状況に直面しているのを見ました。身体的に不自由がある彼等の何人かは、お小水や汚物にまみれたまま(誰にも介護されないまま)過ごします。彼等の部屋は住めた環境ではありません。それに加えて彼等にとり堪え難いことは、(こうした環境下での)孤独感です。彼等は忘れられた存在にされています。これは本当に我々(若き世代のユダヤ人社会)にとって恥ずべき実態です。」
最近天に召された生存者はブラウン氏に次の言葉を残していきました。「私は実を結んで死ぬのではありません。私は痛みと孤独感と、特に怒りを抱いて死ぬのです。その怒りは、何十年もまるで私が存在しなかったかのごとくに私という存在を認知してくれなかった全ての者に向けられているのよ。ダニエルさん、あなたとあなたが送ってくれた学生さんだけです。そして暖かい心で献金してくれた方々だけです。最後の数ヶ月のみ、私の人生に光が灯りました。そして生きることを前向きに考えました。」
このプログラムに参加した学生たちの言葉も紹介しましょう。
「僕は生存者たちへの訪問が、彼等を助けるためだけでなく、自分たちのためでもあったと信じています。人生の中で本当の苦しみを経験し、なおかつ生きる望みを捨てなかった人たちと接するとき、僕たちも将来への望みとインスピレーションをもらいます。」
「彼等(生存者たち)が僕たちの存在だけで喜んでくれたときの、その笑顔を通して僕たちが感じ取った気持ちなんて言葉にとても表わせません。兵役を一年前に控えた僕たちのような感受性の高い学生にとって、この経験は(イスラエルが)なんのために闘っているかを教えてくれます。」
アリヤー(イスラエルへの帰還)を考えている学生はインタビューにこう答えました。「僕が訪問しているこのおばあちゃんは、僕の人生を変えました。僕がおばあちゃんの所に行く度に、彼女はイスラエルの将来はあなた達若い者にかかっているのよ、あなた達が変えていくのよ、と言います。だから僕がアリヤーするのは、つまりその大きな理由の一つがこのおばあちゃんのためになんです。」
先週、レハイム慈善団体の企画で、50名の生存者たちが、メヒナット・ケシェット・エフダ校に集合しました。そこには近所の幼稚園児たちも集められ、ホロコーストの話を聞いた後、園児たちによる寸劇と歌が披露されました。その時間、生存者たちの顔も学生たちも園児たちも共に笑い、生きている喜びを共有し合いました。
記事:[6月24日付けYnet新聞]
参考までに:現在イスラエルには、およそ24万人のホロコースト生存者がおり、その過半数が80才前後かそれ以上の高齢者たちです。また生存者の多くは貧困層に分類され、独り暮らしです。専門家の見方では、生存者の数は2015年には14万人になるだろうと言われています。
祈り)イスラエル国内、国外のホロコースト生存者たちへの支援が増えますように。レハイム慈善団体やゴラン高原の高校生たちの実際的な働きが全国に広がり、祝福されますように。そして全ての生存者たちが「自分は誰からも認知されていない」と感じてしまうことがありませんように。
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