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2009年11月20日金曜日

昨年指定されたイスラエルの祝祭日:エチオピア系シグド祭

昨年7月、クネセット(イスラエル国会)はエチオピア系ラビの申請を受けていたエチオピア系ユダヤ人の宗教祭、シグド祭 [Sigd]を正式にイスラエル国の祝祭日に指定しました。シグド祭はユダヤ暦ヘシュバン月[חֶשְׁוָן:意味は8番目の月。時期的にはユダヤ宗教暦から数えて8ヶ月目の晩秋の29日にお祝いします。まだ制定されたばかりで、非エチオピア系の国民にはまだ馴染みがありません。そこでシグド祭を紹介させていただきます。


私も実は先週はじめてシグド祭の存在を知った者なので、このブログに載せるために勉強してみました。簡単に申し上げると、ユダヤ教のシャブオット祭のエチオピア版です。このシャブオット祭は、ペサフ祭(過ぎ越し祭:出エジプトの記念祭)から数えて7週間後に持つ祝祭で、シナイ山麓に居住していたイスラエルの民のために神がシナイ山頂でモーセを通して与えた十戒とその他もろもろの教えを記念してお祝いします。しかしエチオピア系ユダヤ教の伝統では、神の律法は、ソロモン時代、分裂王国時代、捕囚と離散時代を経て、イスラエルの民に忘れられていき、再び神の教えに立ち返り、律法を読み直したのがエズラ・ネヘミヤの時代だった。その時期が、ヨムキップール(ユダヤ新年に持つ悔改めと罪のあがないの日)明けから数えて7週目だったというのです。そしてヨムキップール明けの仮庵祭が喜びの週であるように、このシグド祭ではヘシュバン月の29日の週に詩篇を読み、歌って踊り、喜ぶのだそうです。

というわけでシグド祭も、シャブオット祭とコンセプトは同様らしく、律法を授かったことを喜ぶお祭りのようです。正確には律法授与ではなく律法再読の喜びだと思いますが。詳しくは聖書のネヘミヤ記8章1〜3節でご確認下さい。

国の祝祭日として指定されて2年目の今年、シグド祭は先週の11月16日(月)から始まっています。この日は国内から3500人(非公式のニュースでは一万人)のエチオピア系ユダヤ人達が都上りをし、エルサレムで集会を開きました。

祈り)エチオピア系ユダヤ人はイスラエル国に約12万人いると言われています。エチオピア人にとり、シグド祭は自分たちのユダヤ性の保持に加え、この国で民族的アイデンティティーを主張できる祭りです。エチオピア系ユダヤ社会に今週シグド祭の喜びが満ちあふれますように。

参考)11月17日付け:エルサレムポスト紙
エチオピア系ユダヤ人のHP:宗教、言語、食事、音楽、伝統などを簡単に紹介しています。
・こちらはシグド祭の写真集:クリック
写真)1枚目(Jewish Daily Forward: Nathan Jeffay)、2枚目はエチオピア系ユダヤ教のラビ達。(写真家:Melanie Lidman)
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2009年11月14日土曜日

「信仰の敵」次々と襲った極右イスラエル人逮捕

11月7日付け産経新聞、大内清氏の記事をそのまま下記に添付します。イスラエル社会が右傾化してきているのでは、と地元のニュースでも大きく取り上げられています。——————————

イスラエルで10月、入植地に住むユダヤ教超正統派の男が逮捕された(写真)。男は12年間にわたり、パレスチナ人殺害やイスラエル人平和運動家襲撃、イエスを救世主として信奉するユダヤ人「メシアニック・ジュー」への爆弾テロを実行したほか、8月に同性愛者2人が殺害された事件に関与した疑いもある。民族、政治信条、信仰の違う人々を次々と標的にしていたこの男。同国メディアは、極端な宗教観に突き動かされた「テロリスト」として、生い立ちや思想的背景について大きく報じている。

 ■厳格な家庭・入植活動に傾倒

 男はヨルダン川西岸中部のイスラエル人入植地シュブト・ラヘルに住むコンピューター技術者、ヤコブ・テイテル容疑者(37)。8月にテルアビブで起きた同性愛者の襲撃事件を支持するビラを配ったとして10月7日、同国の国内情報機関シンベトと警察当局によって逮捕され、他の事件への関与についても供述を始めた。

 イスラエル紙ハアレツ(電子版)などによると、テイテル容疑者は1972年、米フロリダ州に生まれた。両親とも超正統派のユダヤ教徒で、幼いころから宗教的に厳格な家庭環境で育った。大学では心理学を専攻したという。

 90年代半ばごろから、ユダヤ人の若者の間で広まった西岸への入植活動に傾倒し、観光ビザを使ってイスラエルに頻繁に渡航するようになった。

 テイテル容疑者はその後、米国でコンピューターに関する資格を取得し、99年から実際に入植地で生活を開始。2000年にイスラエルに帰化した。3年後には英国出身のユダヤ人女性と結婚し、4人の子供をもうけた。

 ■「静かな性格」

 「物静かな性格で、ほかの入植者との付き合いも少なかった」

 親族ら関係者がこう口をそろえるテイテル容疑者。だが、その裏では、次々と凶悪犯罪に手を染めていた。

 これまでに判明しているだけでも、テイテル容疑者が実行したとみられている事件は多岐にわたる。

  ▽パレスチナ自治区ヘブロンでパレスチナ人の男性2人を射殺(イスラエル移住前の1997年)

  ▽「メシアニック・ジュー」の一家がプレゼントを装った爆発物を送りつけられ、15歳の息子が重傷(2008年3月)

  ▽パレスチナとの和平・共存を主張する平和運動家の大学教授宅に仕掛けられた爆弾が爆発し、教授がけが(同年9月)

  ▽同性愛者パレードの警備を担当した警察署の爆破未遂(時期不詳)

 同紙によると、当局では、8月にテルアビブの同性愛者集会所で男女2人が殺害された事件についても、仲間を使って襲撃させた可能性があるとみて調べを進めている。97年の別のパレスチナ人殺害事件にも関与していた可能性が高いという。

 ■信仰上の「敵」

 接点がないようにも見えるこれらの事件だが、狂信的なまでの超正統派ユダヤ教徒であるテイテル容疑者にとっては、いずれの事件の被害者も、信仰上、許すことのできない「敵」だったようだ。大学教授を狙った事件の現場近くには、ユダヤ教の教えに反する政策をとっているとして政府を激しく非難するメモも残されていた。

 こうしたことから、テイテル容疑者の犯行の動機には、西岸全土を含む土地をイスラエルの領土と見なしてパレスチナ国家を否定したり、同性愛者やメシアニック・ジューを異端視したりするユダヤ教強硬保守派の考え方が色濃く反映していることは間違いないとみられる。当局ではさらに動機の解明を進めるとともに、ほかに関与した事件がないか調べている。

 一方、同国の英字紙エルサレム・ポスト(電子版)によると、イスラエルでは近年、アラブ系女子校爆破未遂(2002年)や、アラブ系市民4人が殺害された事件(05年)などユダヤ教徒による凶悪犯罪が続発。パレスチナ人らを標的とした未解決事件も多い。

 それによってパレスチナ側の態度をさらに硬化させて報復を招くという面もあるだけに、メディアでは捜査当局に対し、こうした事件の摘発強化を求める声も高まっている。

感想)テイテル容疑者と並行して、ロシア移民のユダヤ人による一家6人殺害事件も最近のニュースでした。こちらは世俗派のユダヤ人の間で起きた事件。どちらも移民してきたユダヤ人ということで、移民したユダヤ人(アリヤー組)には痛いニュースです。またイスラム教徒を殺害したテイテル容疑者は、同胞をも—メシアニック・ジューや同性愛者でしたが—殺そうとしました。また彼の立場を擁護する超正統派のラビもどうやら存在するようで、ユダヤ教内の右派と左派の対立は今後激化しそうです。

祈り)イスラエルではユダヤ人の間にある左翼と右翼の対立は政界と宗教界の間にはつきものです。最近は大学内でも対立が目立っています。彼等がものさしとする「聖書」そのものの解釈にアカデミックな世界でも大きなズレが生じている様子。この大きなズレと議論と対立を通して、彼等が追求してやまない“神の義”—神の目から見て何が本当に正しいのかを—極めていけますように。

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2009年7月18日土曜日

ラビの結婚論ってつまるところはセックスの勧め?

今日取り上げるのは、デビッド・バツゥリ氏( Rabbi David Batzri:写真:ハアレツ紙)というカバラー系の超正統派ラビ(ユダヤ教教師)で、ナハル・シャローム・イェシバ(宗教学校)の校長でもある人物。そして彼の結婚論です。彼はへレディ(超正統派)コミュニティーの“名物先生”で、彼の勧めで結婚したカップルは大勢いるということです。

去る7月9日(木)、エルサレムの嘆きの壁におよそ千人の未婚の女性が集合しました。「生めよ。増えよ。地に満ちよ。(聖書の言葉)」と言われた神は、彼女たちには大切な“結婚の神様”。その神様に「尊敬できるパートナーを与えて下さい」と祈る集会を、この名物先生が独自の結婚論で導いたのでした。嘆きの壁での祈祷後、これら10代後半〜20代の女性達は名物先生の語る言葉に傾聴しました。その内容は地元のラジオ番組や新聞で紹介されました。以下がその名物先生の結婚論です!


♥長い独身生活に終止符を打ちたいなら、または不妊の女になりたくないなら、すぐに結婚しなさい。避妊具の使用は一切止め、とにかく12人を生むよう努め、子づくりに励みなさい。
♥女たちよ、妊娠を遅らしてはならない。既婚の婦人達よ、子づくりに関してお互いに励まし合いなさい。
♥避妊は、家計収入に影響を与えるということを知りなさい。子を宿すことを人口的に止める者は天来の祝福が止まり、収入も減ります。(つまり子沢山の家庭に対しては減税や国からの援助金があるのだから、恩恵を受けなさい。もしくは恩恵を受けるために子づくりに励みなさい。)
♥子供が3才になっても次の子供を身ごもれない、そういう女は避妊している。その者には「避妊具をつかうな」と教えてあげなさい。
♥子供をおろしてはならない。堕胎を勧める医者の説明を聞いてはならない。私の言う通りに堕胎を断念する母は、その生まれてくる子供が健やかで、義なる子供に育つと知るがよい。
♥40の齢を過ぎても「子づくり」に励みなさい。高齢者の子づくりを危険だと思ってはいけない。
♥結婚できない女は、両親を敬うことに多少問題があった者だ。おそらく父親へより、母親へ敬意を払えなかった者だ。

こういう結婚の勧めはいかがなものですか? 日本のような少子化、高齢化社会にとっては、名物先生のような存在が必要だと思いますか? ここイスラエルでは、名物先生のメッセージは、ウーマンリブを叫ぶ世俗派の女性たちの反発をかっています。ちなみに、イスラエルの一世帯あたりの子供数は3人に対し、へレディーの平均は一世帯6〜7人です。国内の離婚率は3割。この比率に関しては宗教派も世俗派もほぼ同等の様です。育児環境は宗教地区の方が乏しい上に、子沢山のためか、超正統派の親たちの幼児虐待や家庭内暴力が最近メディアに取り上げられています。
参考)7月10日付、Ynet ニュース

祈り)男尊女卑が当たり前の正統派であれ、“女性が強い”世俗派であれ、夫婦が円満で、子供たちが(仮に兄弟が10人いても)満たされているなら、それにこしたことはありません。夫婦円満とイスラエル女性の祝福を祈ります。

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2009年1月16日金曜日

ハアレツ紙に掲載された改革派ラビの祈り

去る週「とりなし」という言葉を使用しましたが、とりなしとは、ある人が自分自身で神に向けて祈れない状態にある時、ある者がその人に代わって神の御加護を求める特別な祈りを指します。堕落したソドムの町に住む自分の甥ロトのためにアブラハムが神に訴えた様は(創世記18章)とりなし手の姿です。もしこの時アブラハムがソドムの政治とロトの状態を知らなければ、アブラハムは彼をとりなすことはできませんでした。この様にガザ地区とイスラエルのためにとりなしたいと願う者が、この地域の状態を正しく知ることを最初に心がけなければ、もしそこでどんなに熱を入れて祈っても「とりなし」ていることにはならないでしょう。


ここに、ガザ地区の現状に心を痛める、ある改宗派ラビのとりなしを紹介します。これは正統派や伝統派のユダヤ人たちの祈りではないのでどれ程のユダヤ人が次の様に祈っているかは把握できません。しかしこの祈りは先日(1月7日付)ハアレツ紙で紹介されており、日本へはまず知らされないユダヤ教徒の一面を表していると思うのでご紹介します。
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もし祈るべき時があるなら、今がその時です。
もし虐げられた場所があるなら、ガザがその場所です。
全ての子供たちを創られた主よ、我々の切なる祈りを聞いて下さい。祝福の神よ、ガザの子供たちに御顔を向けて下さい。あなたの祝福とあなたからの保護は確かにあるのだと、彼らがそのことに気づきますように。そしてあの黒い煙を見、負傷して冷たくなっている彼等が、あなたの光とぬくもりを受け取れることができますように、導いて下さい。

奇跡をもたらす大いなる方よ、ガザの子供たちにもあなたの奇しい御業をもたらして下さい。我々(国防軍)と彼等(ハマス)から守って下さい。命の日を延ばし、癒して下さい。安全に過ごせますように。あなたが彼等を空腹と恐れと怒りと悲しみから解き放し、我々(国防軍)と彼等(ハマス)からも解放して下さい。

ああ主よ、あなたはイシマエルの神でもあり、ガザの子供たちはその子孫なのだと、我々が心に留めることができますように。イシマエルには飲み水が無く、ベエルシェバの荒野に捨てられた彼には望みが全く無く、イシマエルの母でさえ死に行く我が子を見るに見かねて泣きました。主よ、あなたはイシマエルの叫びに耳を傾けた神、御使いを通して母ハガルを慰めた神、そして 我々のいとこイシマエルに対しても神です。

イシマエルと共におられた主よ、あの時から変わらぬ神であった様に、今日もイシマエルの子孫と共にいて下さい。憐れみに深い神よ、あなたは、苦しむ母ハガルの目を開き、彼女を水の湧き出る井戸に導いた神です。そしてその子イシマエルに水を飲ませて彼を救った神です。

あなたは、我々からはエロヒームと、彼等からはアッラーと呼ばれるお方で、命を与える神です。あなたは命のはかなさとその尊さを知るお方です。今この地の子供たちに御使いを送って下さい。ガザという最も美しく、しかし呪われた地の子供たちに。

恐怖と怒りと悲しみとに包まれたこの戦争の中で、あなたは我々の魂をとらえ、我々の傷を覆うお方です。主よ、我々は今こそ「平和」というあなたの御名を慕い求めます。

あなたの御顔を彼等に向けて下さい、主よ。始めて出会うようにあなたの光と優しさとあふれる恵みを惜しみなく彼等に注いで下さい。

彼等を見て下さい、主よ。そして彼等があなたの御顔を仰ぐことができますように。そして始めて受け取るかのように、あなたからの平安が彼等のものとなりますように。(訳:sunny/写真は母ハガルとイシマエルの想像画)[A Jew's prayer for the children of Gaza]

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注)イシマエルとその母ハガルは創世記中に登場します。背景を知りたい方は21章を読むことをおすすめします。この祈りには一つ気になる部分があります。このラビのエロヒームとアッラーを同一視する神観です。これは全てのユダヤ教徒を代表している神観ではないと考えます。ですから、このとりなしを真似るかどうかはそれぞれの神観に照らし合わせて応用したらよいでしょう。

この祈りは次の点でインパクトを社会に与えたと思います。ハアレツ紙を通して公に紹介された点と、パレスチナ人とは敵対関係にあるユダヤ人が捧げたとりなしの祈りであるという点。

このラビの寛大さ誠実さには心が打たれます。

ところでキリストの看板を背負う者たちは、このガザ地区とイスラエルをどのように受け入れ、またとりなしているのでしょうか。

今イスラエルの国民は、キリスト教徒を含む世界の反応にとても敏感で、一喜一憂の毎日を送っています。

祈り)ガザの住民のために心からとりなしていけますように。

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