今回、イスラエルのニュース記事の中で気になる点がありました。それはオバマ氏がイスラム教圏との関係回復を目指し、演説の中で、自身の幼少時代(彼はインドネシアでイスラム教の宗教学校に通っていた)の経験を生かしコーランを3度引用していた点です。日本語では世界日報がこの点を取り上げていました。
以下は、3日付けの世界日報の記事「米大統領、イスラム世界に向け政策演説」の内容一部:
「盛大な拍手に迎えられたオバマ大統領はまず、自身の青少年時代を振り返りながら、イスラム教との関係の深さを述べ、米国とイスラム世界は、イスラム教が教義原則として強調する『公正と正義』による関係性を築くべきだと強調、多大な拍手を受けた。その後、イスラム教の聖典コーランの言葉を引用しながら、米国とイスラム教との緊密な関係性に言及、『イスラム教は米国の一部』とまで断言した。『米国はイスラム世界と戦争することはない』と言明、『無辜の人1人を殺害することは全人類を殺害することと同様だ』とのイスラムの教えを引用、会場からは「アイ・ラブ・ユー」の掛け声が飛んだ。」【カイロ3日鈴木眞吉】
ちょっと長いですが、オバマ氏の英語の演説はアルジャジーラのネット新聞で読むことができます。
本筋からそれてしまいますが、オバマ米大統領の宗教に関しては、白熱した議論が大統領就任時から米国メディアや個人ブロガー達の間でかわされており、政治面と同時並行に今後さらに注目を集めてゆくと見られています。
今回のコーランを引用した演説で、オバマ氏はイスラム諸国からの支持を得るためなのか「当然イスラムはアメリカの一部です」と言いきりました。演説中に引用する「God」(神)が、はたしてどの宗教の神を意識した表現なのか。あいまいにされた「God」は、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の宗教間の対立緩和につながるか否かは微妙なところです。もしそれぞれの宗教の神観が特性を失えば、政治家としては中東の政治をしやすくなるにちがいありません。それを計算にいれてなのか、オバマ氏の長い演説の最後は、コーラン、タナフ、新約聖書とそれぞれから抜粋した一句を読み上げて閉じられていました。
祈り)イスラエル・パレスチナ問題は、政治と宗教の双方に深く根ざしています。政治を優先にして宗教が骨抜きにされたり、それとは逆に宗教を理由に戦争が正統化されてしまうことがありませんように。
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