2009年1月31日土曜日

何故ハマスはガザ地区の統治権を握ったのか?

09年が明けて最初の月、世界の目はガザとイスラエルに向けられました。そしてイスラエルの一方的停戦を迎えましたが、ガザ地区の政治的問題は明確にされたのでしょうか。


停戦後、国際報道は米国の新大統領に向けられ、イスラエルから遠のいてしまわないようにと願います。それはガザ地域を含む中東情勢とイスラエル側の和平への取り組みは、米国と国連による中東政治の舵取りを度外視しては語れないからです。

今週はガザ地区の統治権をハマスがどのようにして握ったのか、そこに焦点を合わせながら8年前まで遡り、世界政治の動きとパレスチナに与えた影響を考えてみます。

2001年9月11日、ニューヨークやワシントンで航空機4機を使った同時多発テロが起きました。あの米国を襲った同時多発テロは、世界政治におけるイスラム勢力の存在を不動にしました。又、中東世界においては、米国の支配を受けない“アラブ人による自主的政治”を叫ぶグループに火をつけました。世界はイスラム過激派グループを恐れ、これを受けた欧州はアラブ世界とパレスチナ人地区の民主化を叫び始めました。これに押されたブッシュ元大統領は、翌年パレスチナ和平計画『ロードマップ』を構想し、パレスチナ人自治区を05年までに民主化させる計画を発表したのです。03年、米国はこの「ロードマップ」を国連、EU、ロシアと共同発表し、イスラエルにガザ地区を手放すよう当時のイスラエル首相シャロンに圧力をかけました。

シャロン首相はもともとガザ地区のユダヤ人達の入植支持者で、タカ派政治家として知られていました。しかし、よほど欧米諸国からの圧力を受けたのでしょう。彼はロードマップを受託し、05年にイスラエルのガザ地区統治権を放棄し、更にはユダヤ人入植者達を撤退させました。その上この時のストレスでシャロン首相は体を壊し、翌年脳卒中で倒れ、現在は意識不明の状態です。無惨にも世界は彼の存在を忘れ、ガザの現状だけが独り歩きしています。

こうして欧米諸国はガザ地区の民主化を始めました。しかし皮肉にもガザ地区と西岸地区のパレスチナ人は民主化反対勢力(=ハマス)を欧米の民主的方法(=投票)で選んだのです。そもそも全体主義のアラブ世界で選挙をしても、個人個人に反対勢力からの多大な圧力がかかり、正しい人選などできません。ここに個人主義欧米諸国の大きな計算ミスがありました。今日メディアがこの点に触れたがらないのは、欧米諸国の無責任なロードマップとイスラエルが払った代償に対して、裁きを下したくないからでしょう。欧米諸国とイスラエルとどちらが裁かれるべきか、白黒が見えた上で、この部分へのミディアの沈黙は続きます。

そして2005年が訪れ、イスラエルは「ロードマップ」の圧力で土地を手放しました。並行して、同地区内の8500人のユダヤ人住民は強制退去させられたのです。その多数は今も無職で精神的苦痛を煩っています。彼等ユダヤ人がどんなにトラウマで悩んでも、国連からの同情と支援を受けるには至りませんでした。

こうしてガザ地区はハマスの支配化に置かれるようになりました。今日ハマスを追放しようとしても「我々は合法的に統治権を得た。今更口出しするな。」と言えば、欧米諸国はこれに閉口せざるをえません。国連もテロ組織撲滅への強い姿勢を取れるはずもありません。国連は、むしろ根本的な問題を回避したその場しのぎの和平政策だけを切り出し、ガザ統治者とイスラエルからの協力を求めることになります。しかしイスラエルはそれで納得するでしょうか。

さて、欧米諸国が促したように土地はパレスチナ人のものになりました。しかし民主化には至っていません。どこに問題があったのでしょうか。もし土地が問題なら、中東にある二十二のアラブ諸国が、パレスチナ住民のために土地を設け、避難させることもできるはずです。ヨルダン国はパレスチナ人のために建国された国のはずですが大国イランとエジプトの顔色ばかり伺い、何もしません。全アラブ圏を握る中心的存在のイランとエジプトの間には不気味な力関係が常にあり、政治上、アラブ諸国にまとまりはありません。ただパレスチナ人たちをカナンの地にとどめておくという点とイスラエルを責めるという点においてはアラブ勢力は一致するようです。何故それらの点で一致するのか、世界の政治家達は自分たちの中東和平案を通す前にもっと考えるべきです。

5年以降、ガザの民主化後退の原因は経済的問題かの様に取り上げられています。そこでUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業期間)を通して毎年数百万ドルがガザへ送り込まれています。イスラエルも(土地を手放した上で)水と電気を提供し続けています。しかし、空しくもガザ地区のパレスチナ人の生活レベルはより悪化し、ガザ住民はより多額の支援金を世界に要求するようになりました。もしアラブ人が土地を問題にしてきたのなら、ユダヤ人シオニストたちのように開拓精神に満たされ、新しい国づくりに専念したはずです。経済的なものでさえ、必要最低限なものは国連とイスラエルと民間団体が全て備えてきたのですから。

こうした欧米の民主化の努力の背後で、ハマスはガザ地区150万人のパレスチナ人から言動の自由を奪い、 UNRWAからの義援金や支援物資を自らのテロの活動資金に換金して独裁政治を進めました。ちなみに難民の定義はパレスチナ人に対してだけは国際規定とは異なり、自治区に数年滞在しただけで(テロリストでさえ)なぜか難民指定を受けて助成金を授与できるようになっています。また難民の子供たち(2世、3世)も例外的に難民の指定を受けています。この地域では「難民である」というのがむしろ一つのステータスの様になり、それとは裏腹に国連の負担は増えました。一方、同地区から強制退去させられたユダヤ人も難民のはずですが、その対象からは外され国際的援助(主にUNRWAから)は受けられません。

2006年、ハマスはユダヤ人兵士1人(ギラド・シャリット兵)を拉致し、その命と引き換えにイスラエル国内に捕われているテロリスト約1000人を解放してくれと、イスラエル政府を相手どり無謀な交渉を始めています。ロードマップの取決めではパレスチナ側の土地取得に伴い、テロ活動の完全停止が要求されていましたが、世界は第2次レバノン戦争や台頭してきたイランに頭をかかえたまま、この拉致事件を大きく取り上げませんでした。もしハマスが生け捕ったユダヤ人を解放させていれば、今回の国防軍による攻撃はなかったはずです。しかしあれから2年半、ハマスの姿勢はより頑になりテロ活動は激化しました。国防軍は、国民をテロリストから守るために自治区との間に壁を設置してセキュリティーをより強化しましたが、国際的評価にはつながりませんでした。むしろこれを「差別」と批判しました(世界は区別と差別を混同しています。特にイスラエルに関する報道では、史実とは異なるセンセーショナルな集団的主観で「差別」が好んで使われます)。

2008年6月、国防軍とハマスは半年間、停戦をしました。その期間中もテロは止まず、停戦後も続きました。去る12月24日には1日のロケット弾の数が80発以上にもなり、このままエスカレートするハマスの独裁と無差別テロに対してイスラエル政府は「攻撃を止めなければ流血の事態になるだろう」と警告。しかしそれでもガザ地区からのロケット攻撃は止まず、とうとうイスラエル軍はガザ地区のハマス関連施設への攻撃に踏み切ることになったのです。今月起きた戦争への責任と多くの死傷者に対して、イスラエルは悔い、痛み、悩み抜き、イスラエル側の「一方的停戦」に踏み切りました。しかし、テロ活動は今日も続いています。

世界はイスラエルに何を要求してきたのでしょうか?
パレスチナ難民に土地を返せと叫び、パレスチナ人による自主的民主的政治を請求しました。
もちろんパレスチナ人と世界がそのように叫び、それが本当に真実な叫びならと、イスラエルは民主化と土地、また「ロードマップ」に対しても、理解を深める努力を惜しまず、だいぶ譲歩してきました。しかし世界の目はイスラエルにとても厳しいのです。

祈り)人間の義で歴史を正しく測ることができますか。だから神の義が一日も早く成るようにと祈ります。ガザを含むイスラエル問題が正しく測られ、不正者が裁かれ、この地に本当の平和が訪れますように。
 
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ブログ意見集 by Good↑or Bad↓ イスラエル軍のガザ空爆

2009年1月24日土曜日

ガザ侵攻 or ガザ戦争?


イスラエルは1月21日、ガザ地区から国防軍を撤退させました。しかしハマスのテロ活動はこれでおさまったわけではなく、続いています。例えば、ガザーエジプト間の国境に過去に掘られた地下トンネル**は、修理され、密輸が再開されました。これまで、このルートでアラブ諸国(主にイラン)からテロ物資(武器)やテロリストらが出入りしていました。今回、イスラエル側の一方的停戦で、戦争が(一時)止みました。しかしイスラエル側としては、2年半前にハマスを含むパレスチナ武装組織に拉致されたイスラエル兵士ギラッド・シャリート君を忘れてはいません。ハマスはガザ住民がどれ程大きな犠牲を払っても拉致したシャリート君を解放しようとしません。なぜでしょうか? 彼を解放することにより、和平は成立するのにです。しかし現在ハマスは彼の命と引き換えにパレスチナ人1000人の囚人の返還を要求しています。当然通るはずのない要求ですが、イスラエルはこれまで幾度も和平の度に譲歩してきました。今回の行方はどうなるのでしょう。

今回の戦争は日本では「ガザ侵攻」と報道されていますが、イスラエルでは「戦争」という言葉を選んで使っています。「侵攻」という言葉は、加害者と被害者がほぼ決定された表現で、なんとも一方的な解釈だというしかありません。去る3週間の悲劇は、ハマスが過去数年間にわたりしかけてきた宣戦布告の結果によるもので、国防軍がガザに侵攻した出来事のみを取り上げて裁きを下すことは決してできません。ガザ地区の統治権を取り、子供たちに偏った教育をし(ホロコーストはなかったとか)、テロを組織し、イスラエル兵を拉致しては自爆テロリストを次々にイスラエルに送り込み、カッサムロケットをイスラエルへ発射しているそのハマスのどこに大義があるのでしょうか。パレスチナ難民の土地を返せと叫んでいるのでしょうか。パレスチナ人のために民主的社会をと願っているのでしょうか。少しでもそのように叫び、願っているのならと、そこに望みを置いてイスラエルは土地に関しても、パレスチナ人の自主的民主的社会の建設に関しても、理解を深める努力を惜しまず、だいぶ譲歩してきました。

一般に報道されている内容から戦争の裏にあるシナリオを読み取ることは困難かもしれません。


**トンネルの数は8百とも千ともいわれ、その過半数は国防軍によって今回破壊されました。しかしまだ数百残っている様です。トンネルはハマスの巨大ビジネスで、一つのトンネルを掘るのに6万ドルから9万ドルをかけており、より安全性の高いトンネルには15万ドルを投資していました。トンネル・ワーカーは常に2万人から2万5千人いたといわれています、掘削作業中の事故で毎年多数のワーカーが亡くなっています。トンネル密輸ルートで、テロ物資以外にも、石油、食料、家畜など、生活に必要なものも全てエジプトから取り寄せており、ガザ住民のトンネル依存度は非常に高かった様子。その弱みにつけこみハマスはトンネル利用者に多額のトンネル使用料/通行料を請求し、このビジネスを成功させていたそうです。[news.egypt.com: "Underground cattle trade thrives in Gaza tunnels" 21.October, 2008]

祈り)イスラエルとハマス双方が、相手に何を望み、何を守ろうとしているのか、今回の報道から少しでも見えてきますように。具体的には、拉致されたシャリート兵士が一日も早く解放されますように。

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2009年1月17日土曜日

イスラエルの苦悶を代表したリブニ外相の訴え

イスラエルとハマスの戦闘はすでに3週間に及んでいます。

この両者の停戦に向けて、去る1月16日、イスラエルのリブニ外相は渡米し、ライス米国務長官と会談しました。会談の中で日米両者は、停戦準備の覚書に調印し、ここに「米国はガザ地区への武器密輸防止に努めることを保証する」という内容が約束されました。翌日、これを受けてイスラエル政府は一方的な停戦に踏み切る考えを示しています。


しかし、リブニ外相はこうした停戦準備への前向きな取り組みを前に、国連事務総長のパン・ギムン氏に次のようにのべ、イスラエル側への国際的理解を要求しました。(15日付) 戦争の泥沼化を避けたい、しかしハマスのテロ活動を野放しにはできないというイスラエルのジレンマと、そこをまだ世界は理解してくれていないという悲痛な叫びが、リブニ外相の訴えに込められています。

「我々イスラエル国民は過去8年間ロケット攻撃の恐怖に怯えて生活してきました。またロケット攻撃の抑制にも努めてきました。しかし、我々はもうこれ以上は耐えられないところまできています。ハマスは国際社会の要求を受け入れようとしないばかりか、これまでの停戦協定はハマス(の自爆テロやカッサムロケット)によってことあるごとに破られてきました。つい最近までガザ地区から20キロ範囲に及んでいたロケット攻撃は、現在50キロ範囲にまで及んでいます。我々は国際社会が懸念していることにも充分配慮しながら、国をあげて人道援助を続けています。しかし、更にこれからどうしたらいいのかというのが私達の直面している大きな課題です。この地域の戦略はどこに向かってゆくのでしょう。ハマスはイスラエルを始め今後のパレスチナ(民主的)国家の建設にとっても障害です。このハマスにガザ地区の住民を困窮に落し入れた責任があります。ガザ地区での戦闘はイスラエルとパレスチナの間の争いではなく、(実際的には)イスラム教穏健派と過激派の争いなのです。」[訳:sunny: "Ban to Livni: Gaza death toll 'unbearable'" Ynet ウェブニュース (01.15.09)]

祈り)停戦への準備は、ハマスの攻撃姿勢とは裏腹に、イスラエルで進められています。 イスラム教穏健派と過激派の争いがあまり表面化されないように、テロ組織との戦いも反ユダヤ主義的な報道によりぼんやりとしてきました。目に見えない力が働いています。これにどこまで世界のクリスチャンが気づいているのでしょうか。正しい判断力でイスラエルとパレスチナをとりなしていけますように。また「平和をつくる」ために犠牲を払った者たちに、神が報いて下さいますように。

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2009年1月16日金曜日

ハアレツ紙に掲載された改革派ラビの祈り

去る週「とりなし」という言葉を使用しましたが、とりなしとは、ある人が自分自身で神に向けて祈れない状態にある時、ある者がその人に代わって神の御加護を求める特別な祈りを指します。堕落したソドムの町に住む自分の甥ロトのためにアブラハムが神に訴えた様は(創世記18章)とりなし手の姿です。もしこの時アブラハムがソドムの政治とロトの状態を知らなければ、アブラハムは彼をとりなすことはできませんでした。この様にガザ地区とイスラエルのためにとりなしたいと願う者が、この地域の状態を正しく知ることを最初に心がけなければ、もしそこでどんなに熱を入れて祈っても「とりなし」ていることにはならないでしょう。


ここに、ガザ地区の現状に心を痛める、ある改宗派ラビのとりなしを紹介します。これは正統派や伝統派のユダヤ人たちの祈りではないのでどれ程のユダヤ人が次の様に祈っているかは把握できません。しかしこの祈りは先日(1月7日付)ハアレツ紙で紹介されており、日本へはまず知らされないユダヤ教徒の一面を表していると思うのでご紹介します。
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もし祈るべき時があるなら、今がその時です。
もし虐げられた場所があるなら、ガザがその場所です。
全ての子供たちを創られた主よ、我々の切なる祈りを聞いて下さい。祝福の神よ、ガザの子供たちに御顔を向けて下さい。あなたの祝福とあなたからの保護は確かにあるのだと、彼らがそのことに気づきますように。そしてあの黒い煙を見、負傷して冷たくなっている彼等が、あなたの光とぬくもりを受け取れることができますように、導いて下さい。

奇跡をもたらす大いなる方よ、ガザの子供たちにもあなたの奇しい御業をもたらして下さい。我々(国防軍)と彼等(ハマス)から守って下さい。命の日を延ばし、癒して下さい。安全に過ごせますように。あなたが彼等を空腹と恐れと怒りと悲しみから解き放し、我々(国防軍)と彼等(ハマス)からも解放して下さい。

ああ主よ、あなたはイシマエルの神でもあり、ガザの子供たちはその子孫なのだと、我々が心に留めることができますように。イシマエルには飲み水が無く、ベエルシェバの荒野に捨てられた彼には望みが全く無く、イシマエルの母でさえ死に行く我が子を見るに見かねて泣きました。主よ、あなたはイシマエルの叫びに耳を傾けた神、御使いを通して母ハガルを慰めた神、そして 我々のいとこイシマエルに対しても神です。

イシマエルと共におられた主よ、あの時から変わらぬ神であった様に、今日もイシマエルの子孫と共にいて下さい。憐れみに深い神よ、あなたは、苦しむ母ハガルの目を開き、彼女を水の湧き出る井戸に導いた神です。そしてその子イシマエルに水を飲ませて彼を救った神です。

あなたは、我々からはエロヒームと、彼等からはアッラーと呼ばれるお方で、命を与える神です。あなたは命のはかなさとその尊さを知るお方です。今この地の子供たちに御使いを送って下さい。ガザという最も美しく、しかし呪われた地の子供たちに。

恐怖と怒りと悲しみとに包まれたこの戦争の中で、あなたは我々の魂をとらえ、我々の傷を覆うお方です。主よ、我々は今こそ「平和」というあなたの御名を慕い求めます。

あなたの御顔を彼等に向けて下さい、主よ。始めて出会うようにあなたの光と優しさとあふれる恵みを惜しみなく彼等に注いで下さい。

彼等を見て下さい、主よ。そして彼等があなたの御顔を仰ぐことができますように。そして始めて受け取るかのように、あなたからの平安が彼等のものとなりますように。(訳:sunny/写真は母ハガルとイシマエルの想像画)[A Jew's prayer for the children of Gaza]

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注)イシマエルとその母ハガルは創世記中に登場します。背景を知りたい方は21章を読むことをおすすめします。この祈りには一つ気になる部分があります。このラビのエロヒームとアッラーを同一視する神観です。これは全てのユダヤ教徒を代表している神観ではないと考えます。ですから、このとりなしを真似るかどうかはそれぞれの神観に照らし合わせて応用したらよいでしょう。

この祈りは次の点でインパクトを社会に与えたと思います。ハアレツ紙を通して公に紹介された点と、パレスチナ人とは敵対関係にあるユダヤ人が捧げたとりなしの祈りであるという点。

このラビの寛大さ誠実さには心が打たれます。

ところでキリストの看板を背負う者たちは、このガザ地区とイスラエルをどのように受け入れ、またとりなしているのでしょうか。

今イスラエルの国民は、キリスト教徒を含む世界の反応にとても敏感で、一喜一憂の毎日を送っています。

祈り)ガザの住民のために心からとりなしていけますように。

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2009年1月10日土曜日

ガザ地区に停戦はあるのか

イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの闘争は始まってから2週間が経ちました。そこで国連安全保障理事会は1月8日の決議案を次の内容でイスラエルに提示しました。

「即時かつ持続的な停戦とイスラエル軍のガザからの全面撤退」
「食糧、燃料、医療などの人道支援の安全な供給と流通」
「市民に対するすべての暴力・敵対行為と、あらゆるテロ行為の非難」
「ガザ地区の武器弾薬の密輸防止と検問所開放維持に向けた取り組みの強化」

との内容です。

「持続的停戦」というのは解決を先送りにした無責任な提案で、(イスラエル側の)暴力という言葉も、イスラエルの状況を知らない者の不適切な表現です。実際この決議案には、2000年に入ってからのハマスのテロ活動への言及や、イスラエル側の取り組みに対しての評価は含まれていません。

2001年の米国同時テロ以降、中東の中心的存在になってきたイランは、レバノン国のテロ組織ヒズボラとガザ地区のハマスへの資金援助を始めました。その額はハマスに対してだけでも140億円(2006年11月の報道)にも及びます。


イスラエル側としては北のレバノン国、東のヨルダン西岸地区、南のガザ地区に挟まれており、彼等との和平を確立しないかぎり、いつでも危険がつきまといます。数々の和平への取り組みの失敗と挫折にもイスラエル政府はそれでも戦争だけは避けたいと願い、2005年にガザの統治権を譲りました。当時、「和平確立のために自らの土地を明け渡す」政治に、イスラエル国民は憤りました。

世界は、それによりガザ地区は安定し、対イスラエルへの攻撃は無くなると考えました。しかしその後ガザ地区統治の権利はハマスが勝ち取り、事態は悪化し、ガザ周辺の80万人のユダヤ人住民へのハマスからのロケット攻撃はむしろ激化したのです。ハマスのロケットは自衛のためではなく、全てユダヤ人を攻撃するために製造されています。本当の「暴力」はここに存在します。しかし、治安維持のためにテロリストを制するイスラエルに、同じ言葉を当てることは果たして妥当でしょうか。

今回の決議案で、国連はこの地域の治安悪化の原因に触れもせず、一方的にイスラエルの行動を制御しようとしています。イスラエルのリブニ外相は、ハマスによるイスラエルへのロケット弾攻撃には言及しない決議案に対し「イスラエルは国民の安全保障と自衛のために、自ら判断して行動する。」と発言しました。

一方、ハマスも決議案を拒否し、イスラエル南部に向けてロケット攻撃を続けています。

世界は何を停戦に期待し、どのような状態を持続的停戦と呼ぼうとしているのでしょうか。

今、現状はこうです。

つまり、イスラエル南部ではガザ地区からロケット弾が発射される度に町中にサイレンが鳴り響きます。そして住民はいつ自分の家が破壊されるかと不安におののく毎日を送っています。学校は閉鎖され、自宅を離れ、親戚などの元で避難生活を送っている者も多数います。ガザ地区内のパレスチナ人の方は、一般市民や子供たちまでがハマスによって集団的な「人間の盾」にされ、被害を受けています。

そしてイスラエルとハマスの一般市民への対応はそれぞれこうです。

ハマスはガザ地区内の一般市民の中に潜んでゲリラ活動を続け、それにより巻き添えになって死んだ市民をわざと報道陣に写真を撮らせ「自分たちは被害者でイスラエル国防軍が加害者だ」という報道をさせます。その情報操作は実に巧みというしかありません。一方、イスラエル側は、負傷したそれら一般市民に、(当然国民の税金を使って)無料で彼等をイスラエル病院で治療を施します(ハマスの側にお金が無いわけでも、病院がないわけでもありません。住民への姿勢と対応の違いです。)また一般市民の家屋に立て篭るハマス党員に対しては、国防軍は前もって警告をしています。今回の空爆も、イスラエルは事前に警告をしていました。それは一般市民への犠牲を極力減らそうという国防軍の必死の取り組みなのです。

残念ながらこうした現実は日本の報道からは見えてきません。

イスラエル政府は、今後もエジプトとフランスが提案した停戦案を協議していく意向を示しました。しかしイスラエルとしては過去8年間のハマスによるロケット攻撃と、それに怯え続けているイスラエル南部に住む住民の安全保障のゆえに、よほど納得のいく停戦案が提示されない限り、建設的な停戦はないものと思われます。

祈り)イスラエル側とパレスチナ側との間にある報道合戦が激化しています。ネット上でも反ユダヤ主義的な発言が増加の一途をたどっています。戦争は両者に責任が問われるのはもっともですが、言論戦争においても同様です。聖書の神により選ばれたイスラエルの民と、神の選びを拒否したイシマエルとエサウの子孫とが、正しく報われますように。世界のクリスチャンは「とりなし手」として彼等の間に立ち、神の国と神の義を求めていけますように。

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2009年1月3日土曜日

ガザとイスラエルの関係

12月27日、イスラエル軍がガザ地区への空爆を開始してから、7日経ちました。

ガザ地区からのロケット攻撃は過去8年間、断続的に行われていました。イスラエル政府は1967年の第3次中東戦争以来、ガザ地区を管理していましたが、2000年以降、同地区内に存在したイスラム政治団体ファタハとハマスがイスラエル政府に対立し、周辺地域へのロケット攻撃を始めたのです。その後2005年にイスラエル軍はガザ地区を撤退。これにともない、同地区内の8500人のユダヤ人住民も強制退去させられる事態となりました。彼等の中には現在もまともな仕事につけず、精神的苦痛を煩い続けている者も多数います。彼等が開拓し築いた入植地に彼等はもう戻ることはないでしょう。

その後、同地区はハマスの支配化に置かれ、ガザ地区内の140万人以上のパレスチナ人(彼等はハマスに言動の自由も奪われている真の被害者です)と国境沿いのユダヤ人住民は更なる不安に怯えはじめました。
2006年にはハマスが、ユダヤ人兵士1人を拉致し、その命と引き換えにイスラエル国内に捕われているテロリストの解放交渉をイスラエル政府と始めました。

2008年6月、イスラエル政府とハマスは6ヶ月間の停戦に入ります。その停戦終了後(12月19日)は、ハマスのユダヤ人民家へのロケット攻撃はむしろ激化し、去る12月24日には1日のロケット弾の数が80発以上にもなりました。エスカレートするハマスの独裁と無差別テロに対してイスラエル政府は、攻撃を止めなければ流血の事態になるだろうと警告しました。それでもガザ地区からのロケット攻撃は止まず、イスラエル軍はガザ地区のハマス関連施設への攻撃に踏み切ったわけです。現在ハマスは報復体制に入り、毎日50発近いミサイルをイスラエルに発射しています。

1月2日現在、ハマス側に400人以上、イスラエル側に4人の死者が出ています。


祈り)今後この事態が鎮静されるかは、イスラエル軍とハマスによる更なる取り決め次第(もしあればの話ですが)、又、この両者の間を取り持ってきたアメリカと国連の介入の度合い
や方法次第です。この状態を見守る世界に、正しい情報が流れますように。当事者と仲介者に対して、人類の歴史に介入する主御自身から、神の義が更にはっきりと示されますように。

写真はガザの町です。

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