2009年5月29日金曜日

シャブオット、その1

今週28−29日(ユダヤ暦ではシヴァンの月の5日と6日)、イスラエルでは、三大宗教祭の一つ、シャブオットが祝われました。シャブオットは、「七週の祭り」や「五旬節」として知られ、キリスト教徒からは「ペンテコステ」として知られています。巷のレストランや食品店には、シャブオットにちなんだチーズなど乳製品を素材にした料理やデザート類が並びます。チーズケーキが好きな女性達には食を楽しむお祭りになりそうです。子供たちはというと、学校で「麦や果物」をモチーフにした図画工作をしたり、または聖書のルツ記を読んだりします。幼稚園では、白い服を着て、頭には花輪を乗せてドレスアップしたり、フルーツバスケットを作って果物を食べたりと、シャブオットまでに楽しい行事が続きます。こうした大衆文化と化した行事は、本来のシャブオット(聖書に記された祭り)のどの部分の要素を取り入れたものなのでしょうか。今回は2回にわたり、ペサフに続き世界で最も古いお祭りであるシャブオットの聖書的側面をご紹介しましょう。


1)春の収穫祭:

この時期は小麦の収穫の時期で、聖書( レビ記23章15、16節)では「新しく収穫したものの一部を神にささげる」農耕祭として定められました。聖書の暦では、ペサフ(過ぎ越し祭)の後の7週後です。ヘブル人にとり、ペサフは子羊の血によるあがないや海を渉るといった「救いを体験した日」、またエジプトでの何世代にもわたる奴隷制から「解放された日」です。長かった冬に春が来たのです。この宗教的体験に春の収穫が続いたというのは計り知れない神の配慮といえます。この順序が逆では、人間は収穫したものでパンを焼いてもおいしく食べれません。エジプトを脱出した数十万、数百万の者たちの中には多くの非ヘブル系異邦人たち(聖書的表現では「在留異国人」、「男女の奴隷たち」)も混ざっていました。聖書の神は、この春の収穫を彼等も含めて共に「喜びなさい」(申命記16章9−11節)と命じています。


祈り)人間は自分の楽しみのために飲み食いします。けれども心身が疲れ「何かの奴隷のような状態」での飲食はさぞつまらない体験なのでは。現代版ペサフがあるものなら、世界中の者がこれを先に体験できますように。そしてユダヤ人も異邦人も共に喜び合えたらすばらしい限りです。


写真:Ynet


質問)なぜルツ記を読むの?

シャブオットに聖書のルツ記を読むのはそもそもアシュケナジー系ユダヤ人の伝統のようです。ルツ記には、小麦の収穫に関する記述と、ルツという異邦人女性がユダヤ人である義母ナオミの信仰する神(聖書の神)を受け入れて生きる物語と、ダビデ王の系図とが記されています。ユダヤ教の伝統ではダビデはこのシャブオットの時期に生まれ、また亡くなったとも考えられています。こうして、収穫、異邦人女性の救いと選民への仲間入り、ダビデのルーツ等をテーマにするルツ記がこの時期に好んで読まれるようになったようです。

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