2009年5月9日土曜日

ジーザス系シオニスト?


一般的にシオニストというと政治色の濃いユダヤ系ナショナリストを連想します。アラブ系指導者達による定義づけばかりがニュースで頻繁に流されるためでしょうか。けれども現代シオニズムは政治/社会派、現代派、民衆派に分類できますし、聖書時代から今日にいたるシオニズムを考えても、宗教的シオニズムとして一つに分類されはしても、その主張グループも内容も様々です。又ユダヤ人以外でも、キリスト教徒たちがユダヤ人たちの「約束の地への帰還」を支援すれば、これら支援者たちをキリスト教シオニストと呼びます。そして存在としては目立っていませんが、イスラム教徒の中にもこうした支援者がいます。さて、こうした様々なサブグループが存在するシオニズムの中に、最近注目を浴びる新しいシオニストがいるので、ここで紹介します。


そのグループは、——エルサレムポスト紙の呼称では——ジーザス系シオニストです。彼等はキリスト教シオニストの様な異邦人団体ではなく、ナザレ人イエスをメシアとして受け入れたユダヤ人(総称:メシアニック・ジュー)たちです。去る4月30日にエルサレム・ポスト紙は、メシアニック・ジューの中でも、イスラエル国籍と強い愛国心を持つユダヤ人シオニスト・グループを「ジーザス系シオニスト」として報道しました。同紙の記事[英題:Religious Affairs: Jesus's Zionists]から、このグループに所属する兵士達の特徴を列記してみましょう。

1)イスラエル国内のメシアニック・ジューの青年たちは兵役の義務を果たす。これは兵役の義務を信仰上の理由で拒否する多くのユダヤ教正統派の青年たちとは正反対の傾向である。正統派とはいえ現代イスラエルのために兵士を送る異色の団体、オーソドックス・シオニスト類似する。それは「イスラエルのために闘うことは信仰上果たすべき義務」と考えている点において。しかしメシアニック・ジューの兵士たちが突出している点は「現代イスラエルの国益のために」というよりは「神の側で闘う」という意識の強さである。
メシアニック・ジューのアイレット・ロネン氏の証言:「我々の青年たちは個人としての信仰をしっかり持つよう奨励されています。(新約聖書とイエス・キリストへの)信仰は強いられていません。もし1人の若者が信じたなら、それは内的な理由で外的な圧力からではありません。ですから(この信仰を持つ)青年達には(他の兵士たちと異なり)強さがあります。しかし重要な点は、我々がユダヤ民族のために闘うのは、神の側で闘っているという点です。」

2)メシアニック・ジューの兵士達は評判が良い。彼等は忠実な僕で、忍耐強い。国防軍の兵士たちの間では婚前交渉が一般的な社会現象になっているが、彼等だけは異なる。

3)彼等は、新約聖書の平和主義的教えと兵役の義務を果たす行為とに矛盾点を置かない。しかしチャレンジを受けることはあるようである。
ある兵士の証言:「(イエスを救い主をして仰ぐ)信仰者として、我々が敵を愛し、敬うことは義務です。しかし我々はイスラエル国民として兵役の義務も果たします。信仰者なら、自分の言動が正しく、善いことであるかを絶えず問わねばなりません。ですから最も辛い時は、パレスチナ自治区内やボーダーパトロール中で、パレスチナ人たちを警備する時です。
「これを個人的には、我々が彼等を思いやる機会として受け取めています。そしてイエスの教えを証しする場として考えています。今日、国防軍には我々と同じ兵士(メシアニック・ジュー兵士)が200〜300名おり、国内のあちこちで活動し、良い証しを立てています。」

4)彼等は、兵役中、終末を念頭に置いている。注)この場合の終末とは、聖書信仰に立つ者の表現で、今の世界が終わりメシアが到来する時を指します。
同兵士の言葉:「この国の問題は永久にこの状態だとは考えていません。やがて ”平和の君” が到来し平和の時代が来るでしょう。その時に、全ての者がこのお方、つまりイエスがメシアだと気づくでしょう。」

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イスラエル国内には、メシアニック・ジューは、1万人程いる(これより多く見積もる者もいます)と考えられています。彼等はまだ社会的に認められたユダヤ人のグループではありません。”ジーザス系シオニスト” の存在が、こうしてマスコミからの取材を受けはじめたのは、彼等がイスラエル社会で無視できない存在に成長してきたからなのでしょう。

祈り)イスラエル国民がこうしたマイノリティにも目を留め始めています。彼等の信仰に裏付けられた良い業が、良い実を結びますように。
写真)ヘブル語版新約聖書(写真上で開かれているのはマタイの福音書5章9〜12節)とダビデの星

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2 コメント:

Hippy Monday☆ さんのコメント...

シオニストのこと触れてくれてありがとうございます! ウキペディア日本語版でもけっこうアラブ系指導者達による定義づけばかりが目立ちます。比較的(イスラエルに来たことがない日本人なのに)シオニストをわかったように語っている人がいるので・・・。

私の英語力では最も簡単で写真の多いYnetばかり読んでしまいます。その後はHaaretz、で最後にJpost。

sunny+K さんのおかげでまた新しいことがわかりました。

sunny+K さんのコメント...

momojpさんのブログを見せていただきました。
同じイスラエル在住者として、ブログを応援しています。
momojpさんならではの視点と発見を今後もいろいろとお聞かせ下さい。サニー


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