2009年1月10日土曜日

ガザ地区に停戦はあるのか

イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの闘争は始まってから2週間が経ちました。そこで国連安全保障理事会は1月8日の決議案を次の内容でイスラエルに提示しました。

「即時かつ持続的な停戦とイスラエル軍のガザからの全面撤退」
「食糧、燃料、医療などの人道支援の安全な供給と流通」
「市民に対するすべての暴力・敵対行為と、あらゆるテロ行為の非難」
「ガザ地区の武器弾薬の密輸防止と検問所開放維持に向けた取り組みの強化」

との内容です。

「持続的停戦」というのは解決を先送りにした無責任な提案で、(イスラエル側の)暴力という言葉も、イスラエルの状況を知らない者の不適切な表現です。実際この決議案には、2000年に入ってからのハマスのテロ活動への言及や、イスラエル側の取り組みに対しての評価は含まれていません。

2001年の米国同時テロ以降、中東の中心的存在になってきたイランは、レバノン国のテロ組織ヒズボラとガザ地区のハマスへの資金援助を始めました。その額はハマスに対してだけでも140億円(2006年11月の報道)にも及びます。


イスラエル側としては北のレバノン国、東のヨルダン西岸地区、南のガザ地区に挟まれており、彼等との和平を確立しないかぎり、いつでも危険がつきまといます。数々の和平への取り組みの失敗と挫折にもイスラエル政府はそれでも戦争だけは避けたいと願い、2005年にガザの統治権を譲りました。当時、「和平確立のために自らの土地を明け渡す」政治に、イスラエル国民は憤りました。

世界は、それによりガザ地区は安定し、対イスラエルへの攻撃は無くなると考えました。しかしその後ガザ地区統治の権利はハマスが勝ち取り、事態は悪化し、ガザ周辺の80万人のユダヤ人住民へのハマスからのロケット攻撃はむしろ激化したのです。ハマスのロケットは自衛のためではなく、全てユダヤ人を攻撃するために製造されています。本当の「暴力」はここに存在します。しかし、治安維持のためにテロリストを制するイスラエルに、同じ言葉を当てることは果たして妥当でしょうか。

今回の決議案で、国連はこの地域の治安悪化の原因に触れもせず、一方的にイスラエルの行動を制御しようとしています。イスラエルのリブニ外相は、ハマスによるイスラエルへのロケット弾攻撃には言及しない決議案に対し「イスラエルは国民の安全保障と自衛のために、自ら判断して行動する。」と発言しました。

一方、ハマスも決議案を拒否し、イスラエル南部に向けてロケット攻撃を続けています。

世界は何を停戦に期待し、どのような状態を持続的停戦と呼ぼうとしているのでしょうか。

今、現状はこうです。

つまり、イスラエル南部ではガザ地区からロケット弾が発射される度に町中にサイレンが鳴り響きます。そして住民はいつ自分の家が破壊されるかと不安におののく毎日を送っています。学校は閉鎖され、自宅を離れ、親戚などの元で避難生活を送っている者も多数います。ガザ地区内のパレスチナ人の方は、一般市民や子供たちまでがハマスによって集団的な「人間の盾」にされ、被害を受けています。

そしてイスラエルとハマスの一般市民への対応はそれぞれこうです。

ハマスはガザ地区内の一般市民の中に潜んでゲリラ活動を続け、それにより巻き添えになって死んだ市民をわざと報道陣に写真を撮らせ「自分たちは被害者でイスラエル国防軍が加害者だ」という報道をさせます。その情報操作は実に巧みというしかありません。一方、イスラエル側は、負傷したそれら一般市民に、(当然国民の税金を使って)無料で彼等をイスラエル病院で治療を施します(ハマスの側にお金が無いわけでも、病院がないわけでもありません。住民への姿勢と対応の違いです。)また一般市民の家屋に立て篭るハマス党員に対しては、国防軍は前もって警告をしています。今回の空爆も、イスラエルは事前に警告をしていました。それは一般市民への犠牲を極力減らそうという国防軍の必死の取り組みなのです。

残念ながらこうした現実は日本の報道からは見えてきません。

イスラエル政府は、今後もエジプトとフランスが提案した停戦案を協議していく意向を示しました。しかしイスラエルとしては過去8年間のハマスによるロケット攻撃と、それに怯え続けているイスラエル南部に住む住民の安全保障のゆえに、よほど納得のいく停戦案が提示されない限り、建設的な停戦はないものと思われます。

祈り)イスラエル側とパレスチナ側との間にある報道合戦が激化しています。ネット上でも反ユダヤ主義的な発言が増加の一途をたどっています。戦争は両者に責任が問われるのはもっともですが、言論戦争においても同様です。聖書の神により選ばれたイスラエルの民と、神の選びを拒否したイシマエルとエサウの子孫とが、正しく報われますように。世界のクリスチャンは「とりなし手」として彼等の間に立ち、神の国と神の義を求めていけますように。

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2 コメント:

nobby さんのコメント...

Sunnyさん、祈りのリクエストありがとうございます。いつも日本の新聞記事から受ける印象とSunnyさんの描写との落差に驚き、またお勉強させていただいています。ガザ地区の負傷者の取り扱いについても全然知りませんでした。昨年の捕虜交換(?)の事といい、唖然とするような事が平気で行われているんですね。

sunny+K さんのコメント...

nobby さん、
コメントをありがとう。
私もこちらに来て、これまでアメリカや日本を通して見聞きしていた中東情勢が、いくつものフィルターを通して伝わってきいたことを知りました。そのフィルターがもし偏見と先入観で透明性を欠いていたら、私たちはどんどん本筋から離れたところで論じていくことになるでしょう。私には何ができるかなぁと考えた末、こうした情報を発信してみることにしました。続けてご支援下さい。sunny+k


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