去る3月26日、IDF(国防軍) の調査によるガザ戦争のパレスチナ死者数が公式発表されました。これによるとパレスチナ人死者数は1166人で、うち武装勢力(主にハマス党員)は709人、民間人男性は157人、女性は49人、子供(16才以下)は89人、そして民間人か戦闘員か不明な者が162人という調査結果でした。
一方、パレスチナ人権団体は、全体の死者数が1417人で、そのうち313人の子供を含む926人が民間人だったと伝えています。[参考:Palestinian Center for Human Rights]
イスラエル側の調査団は、ハマス側の報告は、若い党員を子供の数にいれたり、二重に数えて死者数を水増しし誤摩化したと語っています。これを受けてハマス側は、党員でも18才以下なら子供だと言い訳をしました。
もしイスラエル側の調査結果が正しくても、民間人を殺めた責任から逃れることはできません。しかし 多数の民間人の死者を出した IDFの「民間人を守ろうとした姿勢」も忘れてはいけません。
IDFは民間人の死者を出した件について次のように弁明しています。
「我々 IDFは、『キャストリード作戦』がハマス関連施設を攻撃対象にし、ガザ地区の民間人を対象にしていなかったことを強調したい。そのハマス党員と戦った現場(ハマス施設と認知された場所)は非常に複雑だったことに注目してほしい。戦場となったハマス施設は、一般住民の生活の場の中央に位置していた。そこには爆発物が仕掛けられた家屋があったり、党員は学校の校舎に立て篭って[我々に対して]撃ってきたり、民間人を『人間の盾』にした。
我々 IDFは、一般人を戦闘に巻き込まぬよう最善の配慮をしてきた。空から警告のビラを撒いたり、地元のラジオなどの放送で非難警告を流したり、各家庭には非難、退去するよう何度も電話をかけた。また、警報として銃声を聞かせもし、又各地でのプレス会議でも最大の注意を払うようにと警告をしてきた。」*
偏った国際報道(日本国内の報道も含めて)は、ガザ戦争を「IDFの不意打ち攻撃」、「民間人大量虐殺」、「無差別テロ」といった言葉で形容しました。更にはイスラエル政府(特にIDF)をナチズムに重ねてみたり、イスラエル製品の不買運動をアピールする民間団体やメディアまで現れました。しかし、もし現場にいたIDFのこの証言と調査報告が正しかったら、これらの報道機関や民間団体はこれまでの言論に責任をとってくれるのでしょうか。言論の自由は認めますが、扇動的表現や報道を野放しにしておいてよいのでしょうか。
話はそれますが、ガザ戦争はイスラエルを経済的に失速させています。政府は戦争開始から一週間目の時点で、2億6千5百万ドルの軍事費を使ったと述べていたので[参考:YNETニュース]、停戦まで更に2週間続いた戦争の負担はかなり大きかった様です。イスラエル政府は、こうした犠牲を国民一人一人に払わせてまで、単にパレスチナ民間人を狙うでしょうか。ガザ侵攻は、パレスチナ人への差別運動を高めるイスラエル政府の国策だったとでもいうのでしょうか。
実際、現場にいなかった者は、当然、客観的データをもって裁きを下すでしょう。けれどもこのデータの客観性が低く、または2つ以上の客観的データが食い違う場合、私達はどちらを信じたら良いのでしょうか。
最後に聖書のヨブ記のことばを記しておきます(23章4−5節)。
「私は御前(神の前)に訴えを並べたてて、ことばの限り討論したい。
私は神が語ることばを知り、私に言われることが何であるかを悟りたい。」
(写真:19世紀のイギリスの画家、ウィリアム・ブレイクの描いたヨブ)
*[英文]:"The IDF wishes to emphasize that its objective during Operation Cast Lead was to target the Hamas terror organization and not the citizens of the Gaza Strip. It must be stressed that the fighting took place in a complex battlefield, defined by the Hamas terror organization itself. The Hamas terror organization placed the primary fighting scene at the heart of civilian neighborhoods as it booby-trapped homes, fired from schools, and used civilians as human shields.
The IDF took extensive measures in order to prevent harming uninvolved civilians, including the dropping of leaflets, broadcasting warnings in local Palestinian media, and placing numerous phone calls to homes. The procedure of making use of warning shots and the briefing of commanders to take extra precautions in populated areas were also among the measures taken by the IDF."
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