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2009年5月1日金曜日

1948年5月14日:イスラエル国が生まれたその日

イスラエル独立記念日(2009年4月29日)にハアレツ紙は、国民あてに「Haaretz Editorial from the day Israel was born」という題名の声明文を出しました。

(左の写真は1948年5月14日のイスラエル国の独立宣言時のものです。中央にいるのがイスラエル初代首相のデイビッド・ベングリオン氏。)

イスラエルという国はどのような思いや考えから建国されたのでしょうか。以下の声明文を読みながら答えを探してみては?
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「題名:Haaretz Editorial from the day Israel was born:イスラエル国が生まれたその日」
文責:ハアレツ編集部 訳:sunny+k 

今日はイスラエル新生の日です。

今日は一つの時代の終焉の日であり、今日は新時代の幕開けの日です。

今日は英国のパレスチナ地域における委任統治が終わる日です。四半世紀前、(国際連盟から委任されて始った)英国による統治は我々ユダヤ人に大きな希望を与えましたーあの時はメシア到来への期待さえ抱かせました。しかしながら、この統治期間は単に政治倫理の乱れを象徴するのみでした。

今日はあの「白い文書」が破棄されます。あの文書とは、正当性を装いながら、この地における我々ユダヤ人の歴史性と居住権利を裏切り、それらを覆い隠そうとした文書です。その文書が過去9年間においても継続して有効であったため、ナチ政府により迫害された数百万人のユダヤ人はこの地に入ることが許されず、救出されなかったのです。

今日はヘブル人[イスラエル全12部族を指す]の独立記念日です。国外追放された我々が1900年を経てこの地に戻る、蘇りの日です。

その長い年月の間に、世界は幾度も様変わりし、この土地も、ユダヤ人も様変わりしました。

けれどもユダヤ人とこの土地の絆が裂かれることはありません。我々は他の民族に例のない苦痛と制圧を受けてきましたが、今日、数千年前の古代イスラエル民族は「回復した民族」として存続します。そして我々の土地における自由と独立は、変わらず我々の生きる支えです。

今、我々は新しい段階に来ています。その段階とは周辺アラブ諸国との高まる危機的状況です。彼等アラブ人は、我々がこの地に戻ることがイスラエル民族史上、必要不可欠であるということを拒否しています。

実際、ヘブル人の独立は、ひと時の憐れみによって回復することはありませんでした。

我々[の大義]は、[国連]総会や、様々な協議会の国際法で厳しく審議を受けることはありませんでした。

ですから我々は、世界の憐れみを求めているわけではありません。また世界の裁きを恐れているわけでもありません。

しかし正義が大幅に歪められることに対し、我々はこれに抵抗し抗議することを我々の義務とします。その正義の歪曲とは、受難の民にとり弊害となった数々の問題をこの世がそのまま蓄積させたことにより生じました。この民は穏やかに暮らせる安息地を熱望していただけなのに迫害を受けたのでした。

たった一年半前の出来事[=第二次世界大戦]です。この世の権力と物質社会が我々を裁いたのは。しかし、それら全ての陰謀や企てとは裏腹に、我々は無罪にされたのです。
しかし実質的な力を持つこの世は、それ自身に正しい裁きを執行させる倫理的強さを持ち合わせてはいませんでした。そこで様々な陰謀を企てる者たちは、この世を放棄しようと試みたのです。

今日、我々は世界の判断に従い、我々がここに存在する権利を宣言します。この権利は蝕(むしば)まれることも、取り消されもしませんでした。しかし一方で我々は敵意に満ちた空気の中で、必要に迫られて、この権利を宣言しなければなりません。

我々が国際国家として他の国々と肩を並べることをたとえ望んでも、世界の大きな国々は、我々が仲間入りできるとは看做さないでしょう。

しかし、この道を進むことを除いて、今我々に開かれた道はありません。

今日、世界における我々の地位は我々自らの手で築いてきました。その様に我々の国も自らの力で手に入れていかねばなりません。その過程で我々は、世界中の権力がやがて我々の実力を認知してくれることを希望し、またそれを確信します。我々も自らの手で自らのものを守り抜く力を保有していると、世界が認めてくれることを我々は希望し、確信します。

しかしこの運動[=国家づくり]は非常に難しくなるでしょう。
最近のグシュ・エチィオン村とシャアル・ハガイで戦った武勇たちによる高度な自己犠牲が払われても、敵の威力を激減するにはまだ至りません。我々はこれを一つの教訓として教えられました。(注)

その上、我々の敵は、まだ我々に対して、その偉大な力を振るい始めてもいません。

我々の前途には数々の艱難が待ち受けています。

多数の者がすでに倒れています。そして更に多くの者が倒れるかもしれません。我々を囲む境界線は前も後ろも今後ぼやけてくるかもしれません。

更なる大きな試練が待ち受けており、我々はそれに向き合わねばなりません。

我々は、天の御使いたちにお願いして、代理戦争をしてもらうことなどできません。

我らが国家として苦闘していることには、我々一人ひとりができる最善を尽くし、その最前線で立ち向かわねばならないのです。

この日は偉大な日です。同時に、とても深刻で重々しい時です。

我々が皆、勇敢に闘えますように。犠牲を惜しむことがありませんように。栄枯盛衰の中、ゆるがない精神を持続できますように。それぞれが忠実に責任を果たせますように。そしてイスラエル人として同胞愛を抱き、我々が目指す場所へ辿り着くことができますように。

我々がもし試練と向き合えるなら、それは特権です。今日、同胞の流血と煙の柱を目の当たりにしたこの日は、我々と次ぎの時代を担う子供達に、安全保証と自由の基礎を置いた日としてやがて記憶されることでしょう。 

注)グシュ・エチィオン村(1920年代にイェーメン系ユダヤ人のグループの手によって築かれたキブツ村。ヘブロンとエルサレムの中間に位置する。しかしイスラエル建国の年、アラブ人に攻撃され消滅した。)シャアル・ハガイ(テルアビブーエルサレムを結ぶ主要道路の中間区画。1948年の独立戦争時、ここで多数のユダヤ人の死者を出した。)

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参考までにですが、この建国の精神は、超正統派のユダヤ教徒は支持していません。同様にこの国で市民権を持つパレスチナ系市民も受け入れていません。しかし国民の過半数の声を代表する声明文であることには変わりありません。(写真は1948年5月14日のテルアビブ市。イスラエル国家誕生を喜ぶ人たち。)

祈り)世界中の人が、所属する共同体(国家)を愛し、そのために生きるという精神を大切にしながらも、過激なナショナリズムに傾くことがありませんように。その精神が「神の国と神の義を求めよ」という聖書の言葉に通じる精神にむしろ傾きますように。又、ユダヤ人がユダヤ人として生きる使命があるように、異邦人も異邦人として生きることの使命をそれぞれの所属する共同体の中で確認できますように。同様に日本人も世界における日本の使命やアイデンティティーを見失うことがありませんように。

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