割礼とは、聖書用語で、ペニスの包皮切除のことを指します(写真左)。宗教的ニュアンスを除けば、包茎手術とも言えます。けれども単なる医療行為とは違い、包茎手術の歴史は、ユダヤ教やイスラム教の間で施される割礼と深く関わり、それが聖書に基づいたものであることは言うまでもありません。
さて聖書を読むと、アブラハムが妻サラを通じて約束の子イサクを設けた時、神はこの赤児に対し生後8日目の割礼を定めています(創世記17章11〜14節)。こうして割礼による“包皮切除の跡”は神と人との関係を確認する印となりました。今日もユダヤ社会では、聖書に基づいて生後8日目の赤ちゃんに割礼を施します。イスラム社会でも割礼が地域的に普及しました。そして伝統的に13才の男子に割礼を施しています。なぜ8日目ではないのでしょうか? この伝統もやはり聖書に起因するようです。こちらの伝統は彼等の祖イシマエル(アブラハムが側女ハガルを通じて生んだ“非約束の子”)が13才で割礼を受けたため(同書25節)と考えられています。
ところで割礼の目的を、例えば性病を防ぐためといった“衛生上”のものであるという解釈は、後代に付加された様です。今日の統計では割礼した男性の方が無割礼の男性よりもエイズなどの性病に感染しにくいという結果が出ており、今では聖書の割礼が見直されつつあります。又去る3月には、米国とウガンダの研究チームが「割礼が性器ヘルペスやがんの原因にもなるウイルス感染のリスクを軽減する」と発表しました。
又、世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、異性間性交渉によるHIV感染が広がっている地域(特にアフリカ中南部)では、感染リスクを低減させることができるとして割礼を推奨しています(2007年以降)。国連の調査結果では、仮にアフリカ 人男性のほとんどが割礼を受けていれば、HIV感染による死者を実に570万人も減らすことができるとしています。

数年前、イスラエルの医療チームはエイズ感染率がアフリカで最も高いスワジランドへ行きました。そこでスワジの医師10名に割礼手術のテクニックを教えました。これを受けてアフリカ各地からは今日医師団がイスラエルにまで来るようになり、安全で手早い割礼手術を学んでいるといいます。もちろんユダヤ式の幼児割礼手術も学んで帰るそうです。

ミンズ医師いわく、セネガルに倣う周辺諸国はエイズ予防にと割礼を取り入れ始めているということです。それにともないイスラエルの医療チーム(主に Jerusalem AIDS Project 等のNGO)は、アフリカの若い医師達への医療教育に力を入れ始めています。又イスラエルの医療チームが割礼を通して性教育にも力を入れており、「エイズ予防」をテーマにして国家間の関係改善をはかることができればと、ミンズ医師は今後の抱負を語っています。
祈り)エイズ予防や性教育に対してもそうですが、割礼(又は包茎手術)そのものへの偏見も未だある人にはあるように思います。それらが無くなり、予防としての割礼が用いられますように。そしてアフリカを初めとする世界各地にまん延する性病が減ることを願います。
参考)7月28日付け:イスラエル21c[“Jewish ritual as AIDS prevention tool” By Karin Kloosterman] 3月26日付け:ロイター通信[男性の割礼、がんの原因となる性感染症も予防=研究]
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