2009年12月4日金曜日

ハヌカは「ユダヤ版クリスマス」?


年々派手になる世界各地のクリスマス商戦で、特に米国のクリスマス宣伝が功を奏したのか、同時期に祝うハヌカ祭も一般に知れ渡るようになりました。米国では大衆向けにハヌカを売り物にしているのか、アメリカンジューの家庭にはハヌカブッシュなるものまでが存在します(写真)。それが「ユダヤ版クリスマス」の謂れにもなっているようですが。ハヌカはクリスマスと時期的に重なる点と史実に基づいているという点では類似しています。ところが祭りの起源とされる出来事が全く違うので、とてもユダヤ版クリスマスとは言えません。ちなみに冬が到来する度に熱狂的キリスト教徒は、世界がクリスマスを中心に回っているかのように宣伝しお祝いします。けれども祝日の12月25日、クリスマスツリー、サンタクロースやトナカイ、クリスマス色の緑と赤は史実に基づいているとはいえず、こうした伝統を基にするならクリスマスは「異教の香り」を放つだけになってしまうでしょう。クリスマスの時期になるとベツレヘムにまでサンタクロースが出没する(!)時代ですから、エルサレムの住民の目にはクリスマスは不可思議なお祭りです。そんなクリスマスと同一視されるのはユダヤ教徒としては嬉しいものではないはずです。実際エルサレムで「メリークリスマス」と挨拶を交わすものなら、冷ややかな視線を浴びるだけです。そこでハヌカとクリスマスをごっちゃにしてしまう方に、ハヌカがどのようなお祭りなのか以下に記してみたいと思います


時期:キスレブ(ユダヤ暦の冬期にあたる)の25日から8日間(外典マカバイ記4章59節)。これは「キスレブ月25日」であって12月25日ではありませんよ。起源とされる出来事はナザレ人イエスの誕生より160年以上前のもの。今年は12月12日からの8日間です。その起源とされた出来事については次ぎの回で紹介することにしましょう。

名称:ハヌカ祭。別称、光の祭典(ハヌカ期間中ろうそくに火を灯すお祭りなので)。宮清めの祭り(または神殿奉献記念祭)。ちなみにクリスマスの主人公のナザレ人イエスもユダヤ人だったのでハヌカ祭をお祝いしています(新約聖書のヨハネ伝10章22節から数節)。


伝統: ハヌカ祭にも、後代に付加されて今日の伝統になったもの、例えば「駒あそび」や油揚げのお菓子や料理などもあります。ハヌカ・ドーナツ(“スフガニヤー”)は私の好物なので、作り方サイトを紹介しましょう→クックパットよみ魔女さんのレシピー」。異邦人に最も知られている伝統は、ハヌキヤ(8本の燭台)を使うことです。ハヌカ祭が始まった日の日没に、この8本ある燭台の一本目にろうそくを灯します。ハヌキヤは毎晩一本ずつ8日連続で灯されていきます。エルサレムの住宅街(特に旧市街のユダヤ人地区)を夜に歩けば、窓際に置かれたハヌキヤが、冬の寒さと暗闇を忘れさせてくれます。


聖書から考えるハヌカ:「神への奉献」を意味するハヌカ(חנוכה)という言葉は、ネヘミヤ記12章27節に使用されています。後のハヌカ祭を指す用語になる以前、この言葉には異教徒に侵されたエルサレムを再び取り戻し、神殿を神様へ奉献するという意味がありました。ハヌカ祭は「マカベア戦争に勝利し、神殿を取り戻した記念祭」ですから、この言葉の意味と合致します。同時にハヌカという名詞の語根(ח,נ,כ)を動詞に変えると「子供に教える」という意味になります。ハヌカ祭の「神の宮は常に聖書の民の中心に置かれる」というメッセージは将来を担う子供たちへ教え伝えたい内容です。エルサレムからだいぶ離れた欧米ユダヤ社会でも、クリスマスツリーを真似るだけじゃなく同じハヌカ・メッセージが語られているといいですよね。このかわいい写真はYnet紙から借用。

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