2009年4月19日日曜日

ヒットラーの誕生日、ホロコースト記念日、第2回ダーバン会議

日本の学校や企業で新年度が始まり、新しい風が吹き始めた頃、イスラエルでは宗教暦のお正月やペサフを迎えて春を楽しんでいます。又イスラエル政権は4月から新しくなり、首相もオルメルト氏からネタニヤフ氏に移行し、イスラエルには新しい風が吹き始めました。国内の政治経済においても、草花に笑顔を運ぶ春風が吹くことを願います。しかし明日4月20日の日没から21日だけは、春風が一瞬止まるのかも‥‥。イスラエルではこの日がホロコースト記念日だからです。この日は例年、ラジオの音楽番組は悲しい曲のみを流し、テレビではホロコースト関連の特集が組まれ、一日中シンミリとしています。この日は、日中のメランコリックな音楽やテレビ番組のせいで、鬱になったり、その晩に悪夢を見てうなされる子供たちが毎年いると聞きます。(写真:エルサレムの神殿の城壁にけなげに咲く野花)


今年はスイスのジュネーブで開催される世界会議の内容によりますが、大人にとっても暗い日になりそうです。明日からスイス国ジュネーブ市において4日間にわたり、第二回ダーバン会議[反人種主義・差別撤廃会議: 第一回目は2001年に南アフリカ共和国のダーバン市で開かれたことからこう呼ばれる。]が開催されるからです。

この会議は国連を軸にして、国際社会が人種差別の予防策や教育、被害者保護、救済、補償などを話し合うための会議です。2001年の同会議では世界150カ国から政府、NGO 関係者らが集まりました。この会議は「差別をなくそう」という南アフリカ共和国をはじめとする“世界各地の声”が国連を動かしてようやく形になったものです。しかし第一回会議の内容がこの呼びかけとは裏腹に差別的内容(特にイスラエル国に対して)だったため、当時の米国務長官のコーリン・パウエルが憤怒したことでニュースになりました。あの時は米国代表団とイスラエル代表団が会議の途中で引き揚げるという騒ぎになりましたが、今回は開催前にすでに、イスラエル、カナダ、イタリアがそれぞれボイコットを表明しています。アメリカも土壇場で昨日欠席届けを出しました。さて、この会議のどこに問題点があるのでしょうか。

一つは、議長国がリビア国、副議長国がイラン国であること。これに対しては世界ユダヤ人会議(WJC)のミカエル・シュナイダー書記長は「この会議は、主旨とは反対に人間の基本的人権を軽蔑する国々によって運営されている。」と批判しています。又エルサレム・ポスト紙は同会議への資金援助国に人権問題を軽視する国々を挙げています。同会議は例えば、サウジアラビア国から15万ドル、中国から2万ドル、イランから4万ドル、そしてロシアから60万ドルを受け取っており、同会議における差別に対する定義内容や声明に対して何らかの影響を与えていると考えられています。

もう一つは、同会議は、世界の様々な関連問題を取り上げるべき会議ですが、その主要問題としてパレスチナ問題のみが取り上げられているという点です。また指摘されている点はイスラエル批判を前提とした政治色の濃い内容です。同会議で大きな発言力を持つアラブ諸国は、世界に蔓延してきた反アラブ主義や反イスラム主義はイスラエルとシオニズムの仕業だと主張し、彼等こそ差別的、非人道的存在として認定すべきだと訴えています。(左図:これは今回のダーバン会議で「ダビデの星排除(=イスラエル排斥運動)」を勧める反ユダヤ的ポスターです。)

ちなみに4月20日は同時にアドルフ・ヒットラーの誕生日でもあります。第2回ダーバン会議を意図的にこの日と重ねているかについては議論できません。しかしイスラエル外務省で働くアビブ・ラズ・シェフター氏は背後にそのような意図があるのではと警戒しています。

祈り)明日から始まる第2回ダーバン会議では、人種差別の代表的な例としてホロコーストが覚えられますように。そして世界で最も人種差別の被害を受けた民族が、国際会議の中で「差別的で非人道的だ」というレッテルが貼られてしまうことがありませんように。またこの日がホロコーストを追体験する子供達に失望と恐怖をもたらす日ではなく、明日への希望を約束できる日となりますように。もしくは神自らの御守りを確認できる日となりますように。

風刺画と関連記事)この風刺画は今年3月にニューヨークタイムス紙に掲載されたガザ戦争の風刺画で、パット・オリファント氏[Pat Oliphant] が描きました。オリファント氏の風刺画は現在世界で活躍するイラストレーターの風刺画の中で、最も影響力があると言われています。その彼のガザ戦争の風刺画は、イスラエル国防軍を「頭と心の無いナチス」に、ダビデの星を「モンスター」に見立てており、米国ロサンゼルス市にあるサイモン・ヴィーゼンタール・センター(イスラエル・ロビー団体)から批判され注目を浴びました。
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