2009年4月4日土曜日

4月8日、お月見しませんか?


今週、イスラエルではペサフというお祭りが始まります。このペサフ[別称:過ぎ越しの祭り]は、ユダヤ宗教暦の最初の月(ニサンの月)の満月の夜から始まります。日本のわらべ歌「うーさぎ、うさぎ何見て跳ねる?じゅーご夜お月様見てはーねーる。」は一五夜の満月に唄われた歌です。さてニサンの月の、どの夜が満月かというと、ご存知の通り15日目がその夜で、グレゴリオ暦で言えば今年は来る水曜日の4月8日にあたります。この祭りは3500年もの歴史を持つ古い祭りで、イスラエルの神が定めた祭りです。

聖書の出エジプト記12章1−2節に記されたことばはこうです。


「エジプトの国で、主はモーセとアロンに言われた。
『この月をあなたたちの正月[ニサンの月]とし、年の初めの月としなさい。‥‥』」

この祭りは、エジプトで400年間奴隷にされていたユダヤ人がその地を逃れ(おそらく新王朝時代の第19王朝の頃)、カナンの地に入るための旅を始めたことを記念としています。当時のイスラエル人にとって「解放」や「自由」を意味したこの「出エジプトの旅」では、旅を始めるにあたりイスラエルの神がエジプトの太陽崇拝を続けぬよう、イスラエル人にエジプト式太陽暦を止めさせました。その代わりに月の動きを見ながら旅を続けるようにと太陰暦を定めたのです。

さてペサフは満月の夜から一週間続きます。なぜペサフを「過ぎ越しの祭り」と呼ぶかについては、出エジプト記12章の続きを読まなければ分かりません。この部分はペサフに入り、あらためて書くことにします。

ちなみにキリスト教では、二千年前のこのペサフの時期にナザレ人イエス(彼もまたユダヤ人でした)がエルサレムで裁かれ、死刑とされ、ローマ式に両手両足を磔(はりつけ)にされて殺されています。というわけで、ペサフのこの時期、エルサレム旧市街には世界各地からの熱心なキリスト教徒巡礼者がやって来ます。

今週は月見をしながら、世界で最も古い祭りが今、ユダヤ人の間で始まろうとしていることを心に留めてみて下さい。

祈り)ユダヤ宗教暦は、多神教国家の古代エジプトの汎神論的な宗教観、哲学観に多大な影響を受けたイスラエル人が、もう一度、唯一絶対のイスラエルの神と共に歩むようにと神自らが定めたものです。イスラエルの神がユダヤ人に求めた「唯一絶対な存在者と共に歩む旅」を少しでも理解できますように。

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4 コメント:

匿名 さんのコメント...

お月見、素敵ですね。
東京はお花見のシーズンになりました。

匿名 さんのコメント...

はじめまして。sarahと申します。ギヨレットです。
赤ワインはキドゥーシュ(聖別・感謝・祝福)の意味は持ちますが、播祭の羊の血を象徴して飲む、ということはありません。
ペサフのスィドゥール・ケアラ(お写真にある)の中に、奴隷の身をたとえるマロールやハロセット等と並んで、ズロア(鶏や羊を焼いたもの)を、ズロア・ハザカで救い出されたことを象徴し、焼いたものを乗せます。)が、羊の血は関係ありません。(血を食べるなというのがカシュルートの基本なので、カルバホメル、血を象徴したものを飲む事も忌まわれるでしょう。)
キリスト教、初期キリスト教、カトリックなどでの血とワイン、パンと聖体の意識のような要素が、全くありません。
シャバットのキドゥーシュと同様の聖別感謝祝福であり、ペサハのセウダでは4グラスのワインと共に、4つの解放の意味を繰り返し語り継ぎます。
キリスト教文化圏の人たちが、ユダヤのペサハを羊の肉を食べる祭りといった意味のことを話されますが、セデルの本題はハレル(賛美)とハガダに在ります。

sunny+K さんのコメント...

sarahさん、
コメントをありがとうございました。
私がこの回の次の週に取り上げた記事はメシアニック・ハガダーに関するニュース記事でしたが、あれは非ユダヤ系の宗教団体(カトリックやプロテスタントなど)の解釈ではなくて、一部のユダヤ人たち(メシアニック・ジュー)の新しい解釈です。ペサフの伝統(例えば4杯のワインに関してなど)をタナフと新約聖書から解き明かしているのは彼等であって、非ユダヤ系のクリスチャンではありません。ですからsarahさんの伝統的解釈を知り尽くした上で、メシアニック・ジューの方々は新しい視点をユダヤ教徒とキリスト教徒の双方に提示しているのだと思います。
このブログでは彼等の視点と解釈を紹介させていただきました。

匿名 さんのコメント...

sunny+Kさま。
お返事ありがとうございました。

「ワインは「命の実」と考えられた葡萄を原材料にしており、ペサフの晩餐で用いる赤ワインは小羊の赤い血を象徴します。
しかしメシアニック・ジューは、小羊の血に加えて、罪の家からあがなったメシア・イエスの血も象徴されていると主張します。」

書いてらしたこちらの部分に関して、『一文目は ユダヤ教徒のペサハのセデルのこと』『二文目は、メシアニック・ジューでの新主張』だと書いていらっしゃると理解しました。
シャローム


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