2009年3月21日土曜日

CIAの未来予想図:20年後イスラエルは消えている!


今月13日「プレスTV」(イラン国営放送国外事業局が発信する英語放送)は、CIA(アメリカ中央情報局)による「イスラエルの未来予想図」を報道しました。このCIAの報告は、将来イスラエルにパレスチナ国が建設されることを前提に置いた、20年後のイスラエルの姿を描いたもので、これにはイスラエル国とパレスチナ国の共存は難しく20年後にはパレスチナ国一国だけが残るという驚くべき報告が出されています。以下はその報告の一部です。

The CIA report predicts"an inexorable movement away from a two-state to a one-state solution, as the most viable model based on democratic principles of full equality that sheds the looming specter of colonial Apartheid while allowing for the return of the 1947/1948 and 1967 refugees. The latter being the precondition for sustainable peace in the region."

この報告書では、もしパレスチナ国が建設されたら1948年のイスラエル国建国時と1967年の六日戦争時のパレスチナ全難民がこの地に戻って安住するようにはなるが、それから15年もすると約200万人のイスラエル人はアメリカに移民すると予想されています。その裏付けとして、50万人のイスラエル人は米国の2重国籍保持者で、30万人のイスラエル人はすでに米国カリフォルニアに移住しているからだと報告しています。加えて、ロシア系イスラエル人の150万人も祖父母の故国に戻り、他のイスラエル人もヨーロッパに帰るだろうとの報告が出されました。

この報告書の件で「プレスTV」は、国際弁護士のフランクリン・ラム氏(彼は最近顔を出す中東情勢のご意見箱だが、ネット上には詳しいプロフィールは出て来ない)にインタビューし、彼はこのように答えました。

「イスラエルの植民地主義は、ソビエト連邦が90年初期に解体したように、又南アフリカ共和国の人種差別政策(アパルトヘイト)が廃止されたように、やがて激しい国際批判をあび、遅かれ早かれ無くなるでしょう。」

そもそもイスラエルを開拓したホロコーストの生存者が、生きるためにこの地を開拓したそのどこに「被植民者を支配しよう」という野心と人種差別があったのでしょうか。野心があったとすれば、神に与えられた命を大切にしよう、殺された同胞の分まで生きよう、頼れる者がいないなら誰にもたよらずに自分たちで頑張ろう、というたぐいだったと思うのです。私は「イスラエルの植民地主義」という言葉の使い方をラム氏に問いたいところです。
ラム氏が示唆したように、イスラエルの地に描かれた夢ははかなく消え去るのでしょうか。もちろん、イスラエルの夢は、ヨーロッパやアラブ諸国での迫害の後この地にやってきたユダヤ人達の夢で、主にシオニストの描いた夢です。この夢は非ユダヤ人にはとうてい分かってもらえず、アラブ諸国は彼等の夢のせいで人種差別やパレスチナ難民が発生していると考えます。ユダヤ人の夢はアラブ諸国にとり悪夢なのです。先週レバノン国ではヒズボラ指導者のナスララ(写真)が、最近の米国の要求を拒否し「1000年間はイスラエルの存在を認めない」と演説しました。これはユダヤ人たちの夢を彼等は千年たっても共有できないという強い主張です。[アルジャジーラ報道、 “Hezbollah will not recognise Israel”]

現在オバマ新政権はイスラエルにパレスチナ国家を建設させることを視野にいれ、ヒラリー国務長官を解してイスラエルに圧力をかけています。オバマ氏はこのようなCIAからの報告やアラブ諸国の発言を聞いて、今のパレスチナ政策を改めるでしょうか。それとも「この地に平和をつくるためだ」と主張しながら押し通すでしょうか。

イスラエルはこうした米国と中東の圧力にとても弱く、もう退陣まじかのオルメルト現首相は昨年9月(第二次レバノン戦争の責任をとらされ、テロ組織ヒズボラとの交渉負けをした後だったので)こんな弱気な発言をしました。

" I believed that the land from the Jordan River to the Mediterranean was all ours since in every place there that is excavated, there is evidence of Jewish History. But finally, after a lot of suffering and misgivings, I came to the conclusion that we need to share the land with whom we are residing if we don't want to become a bi-national state," [www.presstv.com “Olmert pronounces Greater Israel dead”]
「私はかつてヨルダン側から地中海までの領土は私達ユダヤ人に与えられていると信じていた。なぜならその領土内のどこを掘ってもこの地におけるユダヤ人の歴史を保証するものが出土したからだ。しかし数多くの苦難と将来への不安を経て、私はようやく気づいた。それは私達が住むこの地をパレスチナ国設立のために分てばよいということを(意訳)」

換言すれば、先人たちの描いた夢をもう描き続けることは不可能だ、というのがオルメルト氏の主張です。イスラエル人の中にも、こうした「あきらめムード」があるようです。イスラエルは今後米国、欧米諸国、アラブ諸国が描く「イスラエルの未来予想図」を受け入れるのでしょうか。それとも自分たちの夢を追いつづけ、自分たちの未来予想図を描き続けられるでしょうか。

「イスラエルの未来予想図」は聖書にもあります。クリスチャンが読む新約聖書にも神様の未来予想図が描かれています。聖書の神は過去、現在、未来において不変なので、その方が定めた未来予想図もアブラハムの時代から今日まで不変なはずです。しかしその予想図は、現状からかけ離れた実現不可能なものに写ります。

さて20年後、30年後、100年後に誰の予想が正しいか。イスラエルの未来はユダヤ人をはじめ世界の全ての人の判断と信仰に託されているのかもしれません。人間の予想が状況に応じてころころ変わっても、それでも神は聖書の未来予想図を変えることなくどこまでも貫くでしょう。

聖書の未来予想図は、ユダヤ人にも異邦人にも求める人には描かれていくので、興味のある方は神に問いながら聖書を読むことをお勧めします。

祈り)たとえイスラエルの指導者たちがこの地をあきらめても、アブラハムにこの地を約束された聖書の神は生きています。ユダヤ人がこの地を治められないなら、神自らが治める時がやがて来るでしょう。目に映る世界はイスラエルの存在を疑い、聖書の神を否定しても、真理を探し求める者たちを神があわれんで下さいますように。そこで求める者が目に見えないところに働く神の存在を認め、聖書の未来予想図を神と共有し、心に描いていけますように。
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2 コメント:

Hippy Monday☆ さんのコメント...

私は、大丈夫だと思います。これはムスリム、クリスチャン、ユダヤとかそうじゃないとか関係なく、この国(土地)で生まれた子供はどんな宗教をもっていても、もっていなくても、アラブ人でもユダヤ人でも日本人でも国を愛すると思います。

(パレスチナ暫定地区の)アラブ人の人口が増えるから民主主義の定義にのっとるとイスラエルは無くなる、という考えはそもそも2国共存ということを前提に考えていないと思います。その考えはイスラエルという国にパレスチナ自治区のパレスチナ人も現在イスラエルに住んでいるパレスチナ人にイスラエルの市民権を与え、選挙権を与えると、将来パレスチナの人口がユダヤ人以上になるとこの国はパレスチナになるという考えであると思います。

パレチナ暫定地区にパレスチナという国を建国するということを世界の人はどのように考えているのか?パレスチナ暫定地区が国として建国された場合、その国の人にその国の選挙権が与えられる、その国の人口が増える、その国が独自に自衛隊を持つ。

チェコスロバキアも昔は一国でしたが、現在はチェコとスロバキアに分かれています。

どうして世界中の人はイスラエルを地図から消そうとしているのか? なんだか世界中の人がイスラエルという国を間接的に認めたくないのかなって・・そう感じてしまう。

sunny+K さんのコメント...

コメントに感謝です。
私も2国家共存は不可能ではないと思います。またそう願います。イスラエルは世界各国で生まれた人たちが、言葉と文化を超えてこの60年を歩んできました。なのでイスラエルは、パレスチナ人の言葉と文化と歴史を受容できない国ではないはず、と私はかってに願っています。

聖書の未来予想図の一例では「オオカミと子羊は共に草を食む世界(イザヤ書65章25節)」を描いています。これは弱肉強食の世界ではなくて、どちらも今日のステレオタイプとはほど遠い、仲良く草を食む姿で、「エデンの園的世界」です。果たしてこの予想図は実現するでしょうか。どう思いますか。


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