2009年1月24日土曜日

ガザ侵攻 or ガザ戦争?


イスラエルは1月21日、ガザ地区から国防軍を撤退させました。しかしハマスのテロ活動はこれでおさまったわけではなく、続いています。例えば、ガザーエジプト間の国境に過去に掘られた地下トンネル**は、修理され、密輸が再開されました。これまで、このルートでアラブ諸国(主にイラン)からテロ物資(武器)やテロリストらが出入りしていました。今回、イスラエル側の一方的停戦で、戦争が(一時)止みました。しかしイスラエル側としては、2年半前にハマスを含むパレスチナ武装組織に拉致されたイスラエル兵士ギラッド・シャリート君を忘れてはいません。ハマスはガザ住民がどれ程大きな犠牲を払っても拉致したシャリート君を解放しようとしません。なぜでしょうか? 彼を解放することにより、和平は成立するのにです。しかし現在ハマスは彼の命と引き換えにパレスチナ人1000人の囚人の返還を要求しています。当然通るはずのない要求ですが、イスラエルはこれまで幾度も和平の度に譲歩してきました。今回の行方はどうなるのでしょう。

今回の戦争は日本では「ガザ侵攻」と報道されていますが、イスラエルでは「戦争」という言葉を選んで使っています。「侵攻」という言葉は、加害者と被害者がほぼ決定された表現で、なんとも一方的な解釈だというしかありません。去る3週間の悲劇は、ハマスが過去数年間にわたりしかけてきた宣戦布告の結果によるもので、国防軍がガザに侵攻した出来事のみを取り上げて裁きを下すことは決してできません。ガザ地区の統治権を取り、子供たちに偏った教育をし(ホロコーストはなかったとか)、テロを組織し、イスラエル兵を拉致しては自爆テロリストを次々にイスラエルに送り込み、カッサムロケットをイスラエルへ発射しているそのハマスのどこに大義があるのでしょうか。パレスチナ難民の土地を返せと叫んでいるのでしょうか。パレスチナ人のために民主的社会をと願っているのでしょうか。少しでもそのように叫び、願っているのならと、そこに望みを置いてイスラエルは土地に関しても、パレスチナ人の自主的民主的社会の建設に関しても、理解を深める努力を惜しまず、だいぶ譲歩してきました。

一般に報道されている内容から戦争の裏にあるシナリオを読み取ることは困難かもしれません。


**トンネルの数は8百とも千ともいわれ、その過半数は国防軍によって今回破壊されました。しかしまだ数百残っている様です。トンネルはハマスの巨大ビジネスで、一つのトンネルを掘るのに6万ドルから9万ドルをかけており、より安全性の高いトンネルには15万ドルを投資していました。トンネル・ワーカーは常に2万人から2万5千人いたといわれています、掘削作業中の事故で毎年多数のワーカーが亡くなっています。トンネル密輸ルートで、テロ物資以外にも、石油、食料、家畜など、生活に必要なものも全てエジプトから取り寄せており、ガザ住民のトンネル依存度は非常に高かった様子。その弱みにつけこみハマスはトンネル利用者に多額のトンネル使用料/通行料を請求し、このビジネスを成功させていたそうです。[news.egypt.com: "Underground cattle trade thrives in Gaza tunnels" 21.October, 2008]

祈り)イスラエルとハマス双方が、相手に何を望み、何を守ろうとしているのか、今回の報道から少しでも見えてきますように。具体的には、拉致されたシャリート兵士が一日も早く解放されますように。

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