2009年1月16日金曜日

ハアレツ紙に掲載された改革派ラビの祈り

去る週「とりなし」という言葉を使用しましたが、とりなしとは、ある人が自分自身で神に向けて祈れない状態にある時、ある者がその人に代わって神の御加護を求める特別な祈りを指します。堕落したソドムの町に住む自分の甥ロトのためにアブラハムが神に訴えた様は(創世記18章)とりなし手の姿です。もしこの時アブラハムがソドムの政治とロトの状態を知らなければ、アブラハムは彼をとりなすことはできませんでした。この様にガザ地区とイスラエルのためにとりなしたいと願う者が、この地域の状態を正しく知ることを最初に心がけなければ、もしそこでどんなに熱を入れて祈っても「とりなし」ていることにはならないでしょう。


ここに、ガザ地区の現状に心を痛める、ある改宗派ラビのとりなしを紹介します。これは正統派や伝統派のユダヤ人たちの祈りではないのでどれ程のユダヤ人が次の様に祈っているかは把握できません。しかしこの祈りは先日(1月7日付)ハアレツ紙で紹介されており、日本へはまず知らされないユダヤ教徒の一面を表していると思うのでご紹介します。
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もし祈るべき時があるなら、今がその時です。
もし虐げられた場所があるなら、ガザがその場所です。
全ての子供たちを創られた主よ、我々の切なる祈りを聞いて下さい。祝福の神よ、ガザの子供たちに御顔を向けて下さい。あなたの祝福とあなたからの保護は確かにあるのだと、彼らがそのことに気づきますように。そしてあの黒い煙を見、負傷して冷たくなっている彼等が、あなたの光とぬくもりを受け取れることができますように、導いて下さい。

奇跡をもたらす大いなる方よ、ガザの子供たちにもあなたの奇しい御業をもたらして下さい。我々(国防軍)と彼等(ハマス)から守って下さい。命の日を延ばし、癒して下さい。安全に過ごせますように。あなたが彼等を空腹と恐れと怒りと悲しみから解き放し、我々(国防軍)と彼等(ハマス)からも解放して下さい。

ああ主よ、あなたはイシマエルの神でもあり、ガザの子供たちはその子孫なのだと、我々が心に留めることができますように。イシマエルには飲み水が無く、ベエルシェバの荒野に捨てられた彼には望みが全く無く、イシマエルの母でさえ死に行く我が子を見るに見かねて泣きました。主よ、あなたはイシマエルの叫びに耳を傾けた神、御使いを通して母ハガルを慰めた神、そして 我々のいとこイシマエルに対しても神です。

イシマエルと共におられた主よ、あの時から変わらぬ神であった様に、今日もイシマエルの子孫と共にいて下さい。憐れみに深い神よ、あなたは、苦しむ母ハガルの目を開き、彼女を水の湧き出る井戸に導いた神です。そしてその子イシマエルに水を飲ませて彼を救った神です。

あなたは、我々からはエロヒームと、彼等からはアッラーと呼ばれるお方で、命を与える神です。あなたは命のはかなさとその尊さを知るお方です。今この地の子供たちに御使いを送って下さい。ガザという最も美しく、しかし呪われた地の子供たちに。

恐怖と怒りと悲しみとに包まれたこの戦争の中で、あなたは我々の魂をとらえ、我々の傷を覆うお方です。主よ、我々は今こそ「平和」というあなたの御名を慕い求めます。

あなたの御顔を彼等に向けて下さい、主よ。始めて出会うようにあなたの光と優しさとあふれる恵みを惜しみなく彼等に注いで下さい。

彼等を見て下さい、主よ。そして彼等があなたの御顔を仰ぐことができますように。そして始めて受け取るかのように、あなたからの平安が彼等のものとなりますように。(訳:sunny/写真は母ハガルとイシマエルの想像画)[A Jew's prayer for the children of Gaza]

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注)イシマエルとその母ハガルは創世記中に登場します。背景を知りたい方は21章を読むことをおすすめします。この祈りには一つ気になる部分があります。このラビのエロヒームとアッラーを同一視する神観です。これは全てのユダヤ教徒を代表している神観ではないと考えます。ですから、このとりなしを真似るかどうかはそれぞれの神観に照らし合わせて応用したらよいでしょう。

この祈りは次の点でインパクトを社会に与えたと思います。ハアレツ紙を通して公に紹介された点と、パレスチナ人とは敵対関係にあるユダヤ人が捧げたとりなしの祈りであるという点。

このラビの寛大さ誠実さには心が打たれます。

ところでキリストの看板を背負う者たちは、このガザ地区とイスラエルをどのように受け入れ、またとりなしているのでしょうか。

今イスラエルの国民は、キリスト教徒を含む世界の反応にとても敏感で、一喜一憂の毎日を送っています。

祈り)ガザの住民のために心からとりなしていけますように。

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